「気づけば、もう30歳ですからね。若いころのようなお金の稼ぎ方もできないし、今の生活が身の丈に合っているような気がします」

 時代も変わり、今では出会い系アプリなども盛んになってきた。すきま時間や自宅でも気軽に相手を探すことができるアプリやSNSのほうが出会える確率も高そうだが、なぜリサさんはいまだに出会い喫茶に足を運んでいるのか。

「私にとって、出会い喫茶は男の人と出会いに行くというよりも、“家に帰る”みたいな感覚なんです」

 リサさんの実家は埼玉県で、都心までの1時間程度の距離にある。だが、21歳くらいの頃からほとんど家には帰っておらず、出会い喫茶を転々としたり、男性とホテルで過ごすなどして生活するようになったという。その理由をこう話す。

「だいぶ前に両親は離婚したんですが、それから母は何人もの男性と付き合っていたようです。フラれるたびに泣き叫ぶ母を見て、かわいそうというよりも気持ち悪かった。20歳を過ぎたころからは同じ空間に居たくないと強く思うようになり、家を出ました。今では、母が何をしているかも分かりません」

 そんなリサさんにとって、出会い喫茶での待ち時間に他の女の子と一緒に雑談をしたり、自分が知らない話を聞いたりすることは、救いだったという。

 最近では出会い喫茶にも大学生やキャバ嬢など、ルックスの良い女性も多く来店するという。店内での競争が激しくなったことで1日中声がかからない日も増え、出会い系アプリで会える男性を探すこともある。しかし、やはり気が乗らないのだという。

「プロフィルとまったく別人が来たら怖いし、待ち合わせ場所で遠くから観察されてすっぽかされるかもしれない。そういうことが何回かあって、ちょっと人間不信ぎみでもあるんです。似たような子たちが出会い喫茶に集まっているようなところもあります。だから身を寄せ合うというか、一緒に悩みを話せるのもちょっと家族っぽいなって」

次のページ
求めているのは「居心地」