IOC関係者はこう警告する。

「JOCや日本の捜査当局の対応はあまりに甘すぎると思いますね。ラミン・ディアク氏は、五輪の有力競技である陸上界のボスとも言われる存在で、IOCでも大きな力を持っています。その一方で“黒いウワサ”もこれまで数多く浮上。昨年、韓国で開催された平昌五輪でも、韓国企業がディアク親子に見返りを支払う代わりに集票を依頼したという疑惑が出ました。リオデジャネイロ五輪の招致でも、息子のパパマッサタ氏に“賄賂”を渡したとして、ブラジルのオリンピック委員会の会長が、2017年に逮捕されています」

 また、息子のパパマッサタ氏は2016年に発覚したロシア選手のドーピング隠ぺい問題でも、隠ぺいに加担したとして、国際刑事警察機構(ICPO)から国際指名手配を受けているという。

「ディアク氏は陸上というビッグスポーツをバックに非常に大きな力があった。五輪招致の集票ということで言えば、大票田のアフリカの票を左右できる存在。しかし、ディアク氏が強大な権限を背景に息子を使って、グレーなカネを手にしているという風評は、IOCに関係する人物ならだれでも知っている。フランスだけでなく、アメリカなどの司法当局も関心を寄せている人物です。フランスの司法当局が捜査を開始したのは、確実な証拠を握っているからだとIOCの中では流れています。ブラジルの会長が逮捕されたのも、フランスの司法当局が情報提供したからだそうです。そんな相手にたとえ、正当な報酬であってもカネを払えば、疑われて当然。ディアク氏が絡むと、いつも後からこんな疑惑が出てくるのです。クリーンに招致するなら、絶対に近づいてはいけない人物ですよ。JOCも知っていたと思うはずですがね」(前出・IOC関係者)

 今後、フランスの司法当局がどんな結論を出すのか、注目される。(取材班)