小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』で連載中の「プリンス堀潤のそもそもキーワード」。今回は「ネットいじめ」について一緒に考えます。

*  *  *

 23万7921件。みなさんはこの数字が何を表しているか想像がつきますか? これは2016年度に全国の小学校で把握された「いじめ」の件数です。これに中学や高校、特別支援学校などの数を合わせると32万3808件にのぼり、いじめとして把握された件数は過去最多となりました。

この連載を読んでくれているみなさんのなかにも、いじめられている、もしくは友達がいじめにあっているのを知っているという人がいるかもしれません。

 ぼくも小学校や中学校のころ、親の仕事の都合で関東や関西の間を何度も転校したときにいじめにあったことがありました。いじめに苦しんでいるのは、あなただけではありません。

 今、多くの大人たち、国や企業がこのいじめの問題をなんとかしようと知恵を絞っています。

 しかし悩ましいのは、表からは見えにくいインターネットを使ったいじめ「ネットいじめ」の存在です。ネットが普及しだした2000年代の初めごろから、すでに子どもたちの間でネットの掲示板を使って相手の悪口を書いたりする行為はあったといいます。「学校裏サイト」など、親や先生には見られないよう秘密のサイトをつくって、特定の同級生の悪口を書いたり、仲間はずれや嫌がらせをしたりするような行為が深刻化していきました。

 さらにTwitterやLINEなどSNSが広がりを見せるにつれて、より陰湿で巧妙な手口で、写真や動画などを使った嫌がらせも見られるようになりました。

 今や小学生でも4人に1人がスマートフォンを持つ時代です。東京都の調査では、都内の小学校~高校等で確認された「パソコンや携帯電話等を使った嫌がらせ」の16年度の件数は、15年度の2倍弱まで増えていることもわかっています。

 最近、国や企業、自治体などがいじめ対策に取り組み始めています。ただ、ネット上にいったん出回ってしまった書き込みなどは、そう簡単には消すことができず、そもそもいじめを未然に防げないというジレンマがあります。

著者 開く閉じる
AERA dot.編集部
AERA dot.編集部

1 2