どうにかしてネットいじめを未然に防ぐことはできないか。最近、アメリカに住む女の子のアイデアが、世界中の人々から称賛を受けて話題になったので紹介します。ぼくはいじめの問題を考えるときにいつも思います。いじめられているほうも、いじめているほうも心に余裕がなくなっている。だからこそ、どちらでもないあなたが力を貸してあげてほしいと。子どもたちの笑顔は、私たち大人にとっても希望です。(ジャーナリスト・堀潤)

【ネットいじめをなくすアプリReThinkとは?】

(1)アメリカの17歳の起業家、トリーシャ・プラブさん。彼女は13歳のときに、ネットいじめで自殺した少女のニュースに衝撃を受け、自分ができることを考え始めたといいます。

(2)その結果たどり着いたのが、スマートフォン向けのアプリ「再考(ReThink)」の開発です。このアプリは、メールやTwitterなどで特定の相手に攻撃的なメッセージを送ろうとすると、それを察知して「このメッセージは他人を傷つけるかも。本当に投稿しますか?」と、表示されるのです。

(3)トリーシャさんたちの試験では、このメッセージが表示されることで、10代の子どもや若者たちの93%が、SNSヘの投稿を途中でやめたといいます。

【国や企業の対策は?】

 国は2016年度から「ふざけ合い」や「けんか」など、これまではいじめとしてカウントしてこなかったような行為も「いじめ」として認知し、早い段階から子どもたちをサポートしていこうと実態把握の強化に乗り出しています。

 また、ネット上でさまざまなサービスを提供する企業の側も、少しずつ対策に乗り出しています。人の心をひどく傷つけたり、恐怖を与えるような嫌がらせの言葉を発見したら、それを削除したり、書き込んだ本人のアカウントを使えなくしたりしています。

 最近では自治体が「いじめ対策」として、電話やメールではなく、LINEの短い文字を使って子どもたちの相談に乗る取り組みが注目を集めました。

【今回のポイント】
●全国の小中学校、高校、特別支援学校などを合わせたいじめの数は32万3808件と過去最多に。
●インターネット上のいじめが急増。TwitterやLINEなどSNSの広がりが原因とみられる。
●国やインターネット上のサービスを提供する企業が、いじめ対策に取り組み始めている。

※月刊ジュニアエラ 2018年2月号より

ジュニアエラ 2018年 02 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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