王者帝京の背中は遠く…早明ラグビーはなぜ凋落したのか? (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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王者帝京の背中は遠く…早明ラグビーはなぜ凋落したのか?

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向風見也dot.

全国大学選手権8連覇を達成して喜ぶ帝京大の選手 (c)朝日新聞社

全国大学選手権8連覇を達成して喜ぶ帝京大の選手 (c)朝日新聞社

 早稲田大学、明治大学のラグビー部が挑む早明戦は、両校の現役学生やOBにとっての冬のお祭りだ。ボールを持った選手が防御を崩せば地鳴りの歓声が沸き、点が決まれば機嫌のよさそうな歌声がスタンドを響かせる。

 収容人数約5万人の旧国立競技場が解体された2014年以降は、約2万5000人が入る秩父宮ラグビー場で開催されている。しかし、人口密度はかえって高まり、今年12月3日の一戦も前売り券完売の見通しか、当日券は販売されないという。

 特別な試合を与えられる両チームだが、最近は真の覇権争いからは遠ざかっている。

 学生王者を争う全国大学ラグビーフットボール選手権では、最多15回優勝の早稲田大学は2008年度以降、12回優勝の明治大学に至っては1996年度以降、大学日本一を逃してきた。また早明戦は両校加盟の関東大学ラグビー対抗戦Aの最終戦でもあるが、今年の一戦に優勝などのタイトルはかかっていない。

 ふたつの名門の苦しみは、昨今の帝京大学の躍進とともに起こった現象と言えよう。

 同大教授でもある岩出雅之監督は、雑用や掃除を上級生が率先して行う文化をじっくりと醸成。トレーニング設備の増強、医療や栄養指導のスタッフの増員に力を入れた。集まってくる部員に誠実さと頑健さという幹を通し、力勝負にこだわる形で2009年度に初の大学日本一を達成した。時間を追うごとに、高校ラグビー界の綺羅星から入学を志願されるようにもなった。そして、プレースタイルの幅を徐々に広げ、昨季に8連覇を成し遂げた。対抗戦もここまで7季連続で制している。

 一方で早明両校は、優勝を至上命令とするが故に優勝から遠のく道を選んだか。

 帝京大学、さらには木村季由監督のもと昨季まで2シーズン連続準優勝の東海大学は、同じ大学の教授にチームを預けて長期政権を敷く。それに対して早稲田大学は4人、明治大学は3人の指揮官を過去10年の間に迎え入れている。

 ボスの交代は組織改革の有効打にもなりうるが、今年から明治大学に入閣した田中澄憲ヘッドコーチ(HC)はこうも指摘する。

「岩出監督も木村監督も、大学の教授として腰を据えて人間教育の部分から着手している」

 田中HCは、国内トップリーグのサントリーで選手の採用を担当したことがある。業務の延長で帝京大学の岩出監督と会話を重ねるなか、こんな言葉を授かったという。

「俺も、若い頃はラグビーだけを教えようとしていたけど、それだけでは勝てない。人間教育をしていくのが(勝利への近道でもある)……と気づいた」

 岩出監督の言ったとされる「人間教育をしていくのが……」の論法は、謙虚で意欲的な人であれば、おのずとトレーニングの効果を上げられるだろう、との趣旨だったか。部員のグラウンド外での態度や振る舞いにアプローチするには、大学教授というポジションはベストかもしれなかった。


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