「平和主義」を掲げる日本は、憲法により兵器などの保有が制限されてきた。しかし、安倍晋三政権下で、日本の様子が変わり始めているようだ。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された解説を紹介しよう。

あたご型護衛艦 (c)朝日新聞社
あたご型護衛艦 (c)朝日新聞社
AAV7(水陸両用車) (c)朝日新聞社
AAV7(水陸両用車) (c)朝日新聞社

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 北朝鮮に関するニュースが連日のように報道されています。国際社会の反対を押し切って核やミサイルの実験を繰り返す北朝鮮に対し、「何をするかわからない怖い国」という印象を持っている人も少なくないでしょう。また、日本の各地ではミサイルが飛んでくることを想定した避難訓練も行われ、不安の声が広がっています。長崎大学核兵器廃絶研究センターの中村桂子先生に話を聞きました。

■粘り強く対話と交渉を

 この問題に解決の道はあるのでしょうか。力で抑え込むしかない――そう考える人も多いでしょう。実際、世界最強の核保有国であるアメリカは、場合によっては北朝鮮に対する軍事攻撃も辞さない、と強気の姿勢を見せています。日本や韓国もアメリカと足並みをそろえながら、北朝鮮に対する軍事的圧力を強めています。

 しかしこうした軍事力による脅しが、北朝鮮のさらなる反発を招き、地域をさらに不安定にしていることも事実です。北朝鮮の核やミサイル問題を根本的に解決するためには、信頼関係をつくりながら、粘り強く対話と交渉を行うしかないのです。

■日本も変わる必要がある

 7月7日、「核兵器のない世界」を求める多数の国の声を受けて、核兵器を全面的に禁止する国際条約「核兵器禁止条約」が採択されました。核兵器が存在する限り、いつかまた使われてしまうかもしれない。皆が安心して暮らすためには核兵器を廃絶しなければならない、と条約に賛成した国々は考えています。一方、唯一の戦争被爆国である日本は、この条約づくりに背を向けました。日本の安全を守るためにはアメリカの核兵器が必要だ、と考えているのです。

 自分の国を守るために核兵器がなくては困る、と考えている国がある限り、核兵器はなくなりません。日本やアメリカと同じ理屈で、北朝鮮も核兵器が必要だ、と言っているのです。核計画の放棄を北朝鮮に強く迫りたいと日本が思うのであれば、日本自身も変わる必要があるのです。

【70年前の日本】
<二度と戦争をしないと誓った>

●日本国憲法第9条
・国と国の争いを解決するのに戦争はしません
・武力で相手を脅すこともしません
・そのために戦力も持ちません

 日本国憲法は、第2次世界大戦に日本が負けたことで生まれた。日本だけではなく世界の平和を求め、そのために二度と戦争をしないと誓った「平和主義」は憲法の三大原則のひとつだ。そして、その平和主義についてふれているのが9条だ。上のように戦争放棄をうたっている。この憲法は施行以来、一度も改正されたことがない。

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AERA dot.編集部
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