【現在の日本】


<「平和」のためといいながら、軍備が拡大中!>

(1)憲法の解釈を変更自衛隊の活動を地球規模に
これまでの政府は、自衛隊を憲法9条で持つことが禁止された「戦力」ではなく、「実力」(警察以上軍隊未満のようなもの)として、「個別的自衛権」だけで、「集団的自衛権」は認められないと解釈していたが、安倍政権下で、一部の「集団的自衛権」は認められると解釈を変更し、「安全保障関連法」を2016年3月に施行した。

(2)武器輸出のルールを緩め、ビジネスチャンスに
2014年4月に安倍内閣は、武器輸出を原則禁止していた「武器輸出三原則」に代え、「防衛装備移転三原則」を決定した。一定の基準を満たせば、武器の輸出や国際共同開発ができるようにした。武器を製造する国内産業を強化し、海外でのビジネスチャンスを狙うためだ。

(3)日本の軍事費が5年連続増加
軍隊を持ったり、ミサイルや戦闘機などの兵器を買ったりするお金のことを軍事費(防衛費)という。世界の軍事費の2位から10位までを足してもアメリカ1国に及ばない。中国は約10年前に比べて約4倍に増加している。世界7位の日本も、5年連続で増加し、5兆円超えだ。増加の理由は兵器を増強しているためだ。

<日本はどんな兵器を最近買っているの?>
●F-35戦闘機
1機約160億円、42機購入予定
航空自衛隊の次期主力戦闘機。レーダーに映りにくいステルス機能が特徴。

●あたご型護衛艦(イージス艦)
1隻約1400億円
ミサイル搭載護衛艦。レーダー波の探知能力は対空で100キロメートルを超える。

●AAV7(水陸両用車)
1両約7億円
海上を航行し、上陸後も内陸部を走れる水陸両用の戦闘車。20人ほど乗車可能

<日本はなぜ兵器を買っているの?>
北朝鮮の核・ミサイル実験や中国の強引な海洋進出など東アジア情勢が不安定なため、防衛のための兵器を増強している。またミサイル発射を繰り返す北朝鮮に対して、相手のミサイル基地をたたく「敵基地反撃能力」を保有する案が自民党からあがっている。もしも自衛隊がこれを整備すれば、防衛費はさらに増額されるうえに、実際の戦争につながる可能性もある。

【キーワード:安全保障関連法】
安保法ともいう。集団的自衛権の行使を可能にしたり、海外で外国の軍隊に協力や支援を行うために、自衛隊をいつでも派遣可能にしたりする法律。

【メモ】
自分の国が直接攻撃を受けた場合に反撃するのが「個別的自衛権」。仲間の国が攻撃されたときに、自分の国が攻撃されていなくても一緒に戦うのが「集団的自衛権」。

(監修/朝日新聞報道局記者・谷田邦一)

※月刊ジュニアエラ 2017年9月号より

ジュニアエラ 2017年 09 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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