「大学が教育を刷新しており、大学自体の魅力が高まっているのも付属校人気の一因でしょう。また大学受験での勉強をガリガリするようりも、アカデミックな教育を余裕を持って受けさせたいという家庭が増えてきました」

(2)独自の取り組みを打ち出すニューウェーブ校の台頭がめざましい

 昨今の傾向として、アクティブラーニングやグローバル教育を標榜する学校に注目が集まっています。15年に日本橋女学館から改称され、共学化した開智日本橋学園、同じく15年に戸板中学校から改称し、共学化した三田国際学園が人気を集めました。

 適性検査型(PISA型、思考力型など)入試や英語入試など、従来の4科や2科の枠に収まらない入試も増えています。

 さらに聖学院の「思考力テスト」はレゴを使って表現、かえつ有明の「難関思考力」はグループ討論、宝仙学園理数インターは日本語で放送した内容を聞き取る「リベラルアーツ入試」、中村は芸術、スポーツなど得意分野をアピールする「ポテンシャル入試」など、従来の形態にとらわれない入試も登場しています。

(3)男子校が人気

 かつては共学が人気でしたが、最近は、男子、女子の別学の良さも見直されています。とくに、男子校への志願者が増えています。

 今年男子校の中でもっとも志願者数を伸ばしたのが桐朋。前年まで志願者が減少していましたが、今年は約1100人集めて大幅増加に転じました。入試を1回から2回に増やしたこと、21世紀型教育へのシフトと新校舎建設がうまくマッチしました。御三家の武蔵も志願者増。母体の根津育英会武蔵学園が、海外大への進学を目指す中高生に向けて、英語で科学を学ぶ課外授業を実施。アカデミックな校風とともに、グローバル教育にいち早く対応したことが保護者の支持を得ました。今や難関校の一角にいる海城も好調です。
 
 関西圏でも、今年は受験率が上昇。小学6年の児童数が減少したことを加味すると健闘したといえます。 ユーデックの情報企画部長・植田実さんは言います。

「午後の入試を導入する学校が増えたのも受験率が上がった一因です。初日も増加し、合格まで短期決戦になってきました。清風南海は入試日程を初日から撤退して2日目に軸足を移したことで大幅に増えました。大阪星光学院、四天王寺などとの併願を狙えるようになりました」

 花園は、SGZ(スーパーグローバルZEN)コースを設置し、グローバル教育を打ち出すことで、大幅に志願者が増えました。

 それぞれの学校で打ち出す教育内容が個性的になり、入試方法も多種多様になっている中学受験。親としては情報収集も大事になってくるといえそうです。

AERA with Kids(アエラ ウィズ キッズ) 2016年 07 月号 [雑誌]

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AERA dot.編集部
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