「美味しくない」

 そんな声にも真摯に対応して、よくよく調べてみると偽物だったこともあった。

 そして、商標などを整備して、商品で得た利益は、市のために使うようにした。

 平成23年のB-1グランプリ姫路大会で2位のシルバー賞を獲得。

 すっかり、メジャーになって、ホルモンうどん研究会のメンバーはさらにあちこちから引っ張りだこになった。

 ところが、世の中には、人が活躍している姿をおもしろくない人もたくさんいる。

 不機嫌な人は、かならず、ごきげんな人の足を引っ張る。

「隠し金があるんじゃないか」

「ホルモンうどんで儲けているんじゃないか」

 そんな噂が立った。

 それだけじゃない。会長が新しい自動車を買えば、

「きっと、ホルモンうどんで隠し金を作った」

 なんて言う人も出てきた。

「僕らは、何も変わってないのに、町の人たちが変わったんだよなあ」

 最初は、いろいろ落ち込んだらしい。でも、開き直ったらしい。

「僕たちは、僕たちなんだ」

「ホルモンうどんを通して、津山を知ってもらいたい。津山に足を運んで欲しい」

「その思いさえきちんとしていれば、落ち込んでいる暇なんてないよな」

 そんな話をしてくれた。

 地域のために生きている人たちは、大なり小なりこんなことがある。

 何もしない人がしている人の足を引っ張ったり、悪口を言う。

 でも、「地域のために」その信念があれば、一時は落ち込むことがあっても、前を向ける。

 そんな彼らをわたしは、心から応援している。