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お客さんの温度は、観る前とあとで変化する

文・中島かずき

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生まれて初めて映画の初日挨拶というものを体験しました。
脚本を担当した『劇場版天元突破グレンラガン紅蓮篇』という劇場用アニメの初日挨拶です。
去年の四月からテレビシリーズとして放映していた作品が総集篇劇場版として公開されたのです。

映画の場合、キャストと監督が初日挨拶をするのは普通ですが、脚本家までが呼ばれることはなかなかありません。
『グレンラガン』の場合は、放映中は今石洋之(いまいしひろゆき)監督が現場で忙しくてなかなかインタビューなどに出る時間が取れず、その間、シリーズ構成とメイン脚本家である僕が作品のスポークスマンとして顔を出していたので、こういう舞台にもお声がかかったのかもしれません。
そういう意味じゃあ、なかなか体験できないことを体験してきました。

池袋でお客さんが観たあとと観る前の二回、そのあと移動して吉祥寺で同様に二回、挨拶をしたのですが、観たあとと観る前ってやっぱりかなりお客さんの温度が違うのですね。

映画を観たあとだと「うおー」という声と共に熱く迎えてくれたのですが、観る前のお客さんは、どこか冷静な目で見ている気がします。
初っぱなの池袋での一回目の挨拶が熱く盛り上がっていたのでその調子で二回目出たら、わりとすべってしまいました。

観た人相手だと、「面白かったですか?」と聞くことも可能ですが、今から映画を観る人達なのでもう少し「どんなものかな、このアニメは」と冷静に見ているようなのですね。

前売りを買ったり朝から並んで整理券をもらったりして、この場に集まった人々です。基本的には『グレンラガン』のファンだろうと思っていたのですが、それでも温度差って出るんですね。
なかなか得難い経験をしました。

まあ、次いつ初日挨拶に呼ばれるか全然わからないんですけどね。

劇場版天元突破グレンラガン紅蓮篇HP


(更新 2008/9/11 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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