船田元氏 (c)朝日新聞社
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畑恵氏 (c)朝日新聞社
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矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』
矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』

 船田元という人は、自民党のカナリアなのじゃないだろうか。毒ガスの発生をいち早く検知するため、炭鉱に連れていかれたというカナリア。自民党の中で鳴いているのでは。

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 そのことに気づいたのは、8月13日だった。

 その日、船田さんは自身の公式ウエブサイトの「はじめのマイオピニオン」というコーナーでサマータイムを取り上げた。するとどうだろう、いきなりネットを中心に議論が巻き起こったのだ。

 私も、武田砂鉄さんのツイッターで知った。

<自民党船田元氏、サマータイム論。

「コンピューターなどの時間設定の変更は、律儀で真面目な国民ならば十分乗り切れるはず」「睡眠不足などによる健康障害問題は、むしろ個人の心構えにより、多くは解消されるはず」

 律儀で真面目な民がコンピューターと睡眠不足に挑戦する五輪。>

 武田さんはそうつぶやき、船田さんのサマータイム論を全文紹介するサイトをリンクさせていた。

 翌日にはあちこちのネットニュースが船田サマータイム論を取り上げていた。「『戦時中かよ』『精神論か』 自民・船田議員のサマータイム導入論にツッコミ殺到」などなどで、シェアランキング1位になっているニュースサイトもあった。

 7月17日に森喜朗さん(2020年東京五輪・パラリンピック委員会会長)が安倍首相と会い、期間中の時間繰り上げを要請したってニュースが、今回調べたら見つかった。あまりにも暑いから森さんも思いついたのだろうが、話題になっている様子はなかったと思う。

 それが一転、話題沸騰。「サマータイムって、注意すべき問題ですよ」と、船田カナリアが鳴いて世の中に知らせた。そう思った。

 これで思い出した方も多いはずだ。2015年6月、衆議院の憲法審査会で、自民党推薦の早稲田大学の長谷部恭男教授が安全保障関連法案について「憲法違反だ」と明言したことを。その時の自民党憲法改正推進本部長が、船田さんだった。

 あの時、一挙に安保法案反対の世論が巻き起こった。国会を連日、大勢の人が取り囲んだ。結局、法案は可決されてしまった。でも長谷部教授がいなかったら、もっとあっさりと可決された可能性はあったと思う。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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