YouTubeでの法話の配信に取り組む大本山須磨寺の副住職、小池陽人さん
YouTubeでの法話の配信に取り組む大本山須磨寺の副住職、小池陽人さん
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小池さんの法話は、YouTubeの法話チャンネル「小池陽人の随想録」で聞ける
小池さんの法話は、YouTubeの法話チャンネル「小池陽人の随想録」で聞ける
平敦盛が愛用したという「青葉の笛」や、「弁慶の鐘」など、源平合戦にまつわる多くの重宝や史跡が残る須磨寺
平敦盛が愛用したという「青葉の笛」や、「弁慶の鐘」など、源平合戦にまつわる多くの重宝や史跡が残る須磨寺

 家に仏壇がなくなり、若者の「お寺離れ」が進む今こそ、仏教の教えを広めたい――。そんな志を持ったお坊さんが、動画サイト「YouTube」で取り組む法話の配信が話題となっている。

【小池さんの法話ちゃんねるや須磨寺はこちら】

 法話チャンネルの名前は「小池陽人(ようにん)の随想録」。源平合戦ゆかりの古刹、大本山須磨寺(神戸市)の副住職、小池陽人さん(31)が、時事問題や身の回りの出来事などに絡めて、仏さまの教えを説く。17年6月に開設され、18年5月までにお寺の行事も含めて34本の動画が投稿された。

 法話は7分程度から10分強の長さのものがほとんどだ。広告が表示されない仕様になっているため、スムーズに見ることができる。更新頻度は2週間に1回。4000回以上再生された動画もある。

 小池さんによると、法話は、若い世代からも「現実に即した内容で分かりやすい」と好評だという。「足が悪く、お参りに来られない檀家さんは『お参りした気分になれる』と喜んでくださります。入院中に動画を見て、退院後は毎月、護摩の法要に通ってくださる方もいらっしゃいます」(小池さん)

 例えば、18年2月に公開された「自身の軸をつくる」では、ストレスをためないために、「自分の軸を持つこと」の大切さを説いた。

 作家の村上春樹さんが著書『村上さんのところ』で、中傷や批判への対応を聞かれて「規則正しく生活し、規則正しく仕事をしていると、たいていのものごとはやり過ごすことができます」と答えたことや、悪口を言われたお釈迦様が、怒る弟子に対して、後から「悪口を私が受け止めなければ(悪口を言った)彼に残る。何でも受け取って悔やむのはよくないことだ」といさめたエピソードから、「心の軸があると、感情に左右されない」と話した。

 そのうえで、「なぜストレスをため込むかというと、考えてもどうにもならないことをひたすら考えて頭を疲れさせてしまうから。手を動かす、足を動かすことが自分の軸を作っていくことにもなるのではないか。村上さんがおっしゃったように規則正しく生きることも、ものすごく大切なことだと感じる。皆さんも規則正しく生きる、それを一つよりどころにして生きていかれたらと思う」と語りかけている。

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