現場の記者の声はというと、ほとんどの人が、かなりの接戦だと見ている。また、前回お伝えした、新潟県の一般市民の県知事選への関心が低いという状況は、中盤に入っても変わっていない。選挙があることさえ知らない人が今もまだ多いそうだ。

 野党陣営が最も心配するのはこの点で、この情勢では、市民の関心が低いまま投票日を迎えてしまい、投票率が上がらない。そうなると、組織票にものを言わせて与党候補が接戦を制する可能性が高まる。

 もう一つ、野党陣営の一部で懸念されているのが、現在の池田陣営の選挙が、共産・社民の色が濃く出過ぎているということだ。池田候補が勝つためには、中間層から保守層への食い込みが必須だが、そういう選挙戦になっていないというのである。こうした懸念を解消し、より広がりのある選挙戦にするために、期待されたのが、6月1日の新潟市内の市民大集会と2日の野党党首そろい踏みの街宣である。これらによって、県民の関心がどれくらい高まり、池田候補への中間・保守層の支持がどこまで広がるのか、週明け以降に見極められることになるだろうが、その効果に大きな関心が集まっている。

 6月4日の新聞報道の見出しとでんわ勝手連の動きが選挙の行方を決める?

 ここまで取材して感じる今回の選挙戦の特色は、どちらの陣営でも、また現場の記者たちにも、はっきりしたことを言う人がほとんどいないことだ。「全くわかりませんね」「手ごたえがないんですよ」「相手のことだけが気にかかる」というような話ばかりが聞こえてくる。

■新潟入りを断った小泉進次郎

 与党側は、前述した通り、これ以上党本部がテコ入れするのはかえって逆効果だという状況で、あとはこつこつドブ板選挙を続けるしか手がない。

 実は、自民党新潟県連は、最後の切り札として、小泉進次郎議員の新潟入りを執行部に強く要請しているそうだが、これまでのところ、党本部から断られているそうだ。前回解説したとおり、石破氏に近く、脱原発派とみられる進次郎氏が、事実上池田候補を応援した父親の小泉純一郎元総理と戦うという図式になるのを嫌がっている可能性は高い。二階幹事長の側も、新潟入りを進次郎氏に頼んで断られるとメンツ丸つぶれだ。しかも、進次郎氏が断ったという噂話が広がれば、小泉親子が安倍降ろしに動いているという見方につながり、安倍総理の自民党総裁3選に悪影響を及ぼすから、頼むに頼めないという面もあるのだろう。

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