今回の“逆シリーズ男”は、桑原かもしれない――。

 ところが第4戦、2安打1四球と桑原が復調の兆しを見せ始めた。得点こそ記録していないが、1番打者が躍動し始めるとチームも動き出す。ルーキー左腕の浜口遥大の快投もあり、シリーズ4連敗でのスイープを免れた。そして迎えた第5戦。桑原に続いて、いよいよ筒香が本領を発揮し始めたのだ。

 ソフトバンクの先発はリック・バンデンハーク。身長198センチの長身から投げ下ろすストレートの威力は相変わらず抜群。この日の最速は154キロで、4回2死まで走者をひとりも許さない完璧な立ち上がり。2回、筒香に対して投じた5球はすべて150キロ超の速球で、最後も152キロの剛球で空振り三振。ところが、ロペスに右超え二塁打を許して迎えた4回2死二塁、153キロのストレートを筒香にバックスクリーン左の左中間席へたたき込まれた。逆転の1号2ランは筒香の今シリーズ18打席目だった。

 とうとう、寝た子を起こしてしまった――。

 ソフトバンクは1回の先制タイムリーに続き、5回にもデスパイネが同点の犠牲フライ、続く中村晃が勝ち越しの1号2ランで4-2とリード。ところが6回、DeNA打線が反撃に出た。先頭の桑原が左前打で出塁し、二盗も成功。1死後、3番ロペスが四球を選び、一、二塁で筒香の第3打席。ソフトバンクは先発のバンデンハークから左腕のモイネロにスイッチ。しかし、今シリーズでも2イニング無失点と好調なはずの左腕でさえも、勢いづいたDeNA打線を止められない。

 筒香の中越え二塁打で3点目、続く1死二、三塁からは宮崎敏郎が中前へ運んで4ー4の同点。さらに1死一、三塁から代打の嶺井博希は二ゴロだったものの、併殺を狙おうとした二塁・明石健志がその緩い打球をはじいてエラー。三走・筒香が勝ち越しのホームインを踏み、DeNAが逆転に成功した。

 ソフトバンクは相手の勢いにのまれ、焦ってしまったのかもしれない。7回からの終盤3イニングでいずれも得点圏に走者を送り込みながら得点につなげられず、7残塁の拙攻。8回にも2死一、二塁のチャンスで打席には柳田悠岐が立つが、DeNAもストッパーの山崎康晃を8回途中から投入する。

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