「iPhone X」
「iPhone X」
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 日本は、世界で最もiPhoneが普及している国といわれている。スマートフォンはずっとiPhoneという人は少なくないし、パソコンはWindowsだけど、スマホはiPhoneという人はむしろ多数派にのぼる。

 iPhoneの強さは、統計にも現れている。OSやブラウザなどのシェアの機械的な統計をとっているサイト「StatCounter」によると、スマートフォン向けOSの全世界のシェアは、iOSが20.32%に対し、Android 72.74%と、Androidの圧勝となっている。ところが、これを日本に限定してみると、そのシェアはiOS 66.56%に対しAndroid 32.57%とほぼ真逆となってしまう。ちなみに、アメリカのiOSのシェアは54.12%と半分強で、iPhone“発祥の地”よりも日本の人気の高さが伺える(いずれも2017年9月時点)。

 スマートフォン市場などを研究している、MMD研究所が実施した調査「2016年4月~9月スマートフォン購入に関する定点調査」においても、2016年4月から9月にかけて、スマートフォンを購入した人の64.8%がiPhoneを購入したという結果が出ている。日本人のスマートフォン利用者のうち、7割近くがiPhoneを占めているのは間違いなさそうだ。

 なぜ、日本人はiPhoneが好きなのだろうか。MMD研究所を運営する、MMD Labo株式会社の吉本浩司社長は、スマートフォンユーザーの動向についてこう分析する。

「Android利用者はメーカー指定ではなく、Androidの中から良い端末を選びますが、iPhone利用者はAndroidの選択肢はなく、次もiPhoneを指名買いしています。そしてメーカーと端末が分離したAndroidと違い、端末とOSが同一であるApple製品は統一性があるため、一度iPhoneを使うと他を選択しない傾向にあります」

 また、世界では“高級機”とされているiPhoneが、日本では“一般機”なのも大きいという。吉本氏は続けて話す。

「世界ではiPhoneは高級端末で簡単には購入できませんが、国内はキャリアの販売奨励施策で、分割やキャッシュバックで非常に買いやすい端末であったことが日本人の大多数がiPhoneを所有できたと考えられます」

 他にも、スマートフォンと言えばiPhoneを真っ先に浮かべるイメージが醸成されているのも大きいと言う。

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