日本が誇るトッププレーヤー錦織圭が、1月18日の全豪オープン2回戦で本来の力を見せつけた。アンドリー・クズネツォフ(ロシア)との1回戦を苦しみながらも突破した後、錦織は「これで目が覚めたと思う」と自身について語っていたが、実際にその通りの姿を世界中のテニスファンに披露。「(試合中に)良い時と悪い時があった」と本人が振り返ったように、この日の試合も常に主導権を握れていたわけではないが、終わってみれば、6‐3、6‐4、6‐3のストレートセットでジェレミー・シャルディ(ATPランキング72位/フランス)を下したのだった。
3時間半を超える5セットマッチの末に1回戦を突破した錦織に対し、29歳のシャルディは1回戦で相手のニコラス・アルマグロ(スペイン)が第1セットの第4ゲーム終了後に棄権したため、初戦はたったの23分で終わっており、この日の試合へ向けたフィジカルコンディションはシャルディが優位と見られていた。しかし、2日前の試合と同じ会場に同じ時刻に姿を現した世界5位の日本人選手は、コートに立った瞬間から軽快な動きを見せ、いきなり相手のサーブゲームをブレークする。自身のサービスゲームでは、精度の高いファーストサーブを繰り出し、第1セットを通じて78%の高確率。また、狙い通りに相手を左右に動かしたり、シャルディが不得手とするバックハンド側にボールを集めたりして、試合を優勢に進めていった。
第2、第3セットでは逆に相手にブレークされる立ち上がりとなったが、どちらも直後のゲームで集中力を高め、すかさずブレークバック。第2セットの第2ゲームではアングルショットやパッシングショットを織り交ぜて巻き返し、次のゲームはラブゲームでキープしている。また、第3セットでブレークされた直後のゲームでは、鋭い読みからのリターンエースを決めて最初のポイントを取って勢いに乗り、こちらも次のゲームでは1ポイントも失わなかった。終盤には相手の強烈なサーブにポジションを変えて対応したり、重要な局面で190キロを越すサーブでエースを奪ったりして、流れを手放さなかった。
「ブレークされすぎたのは反省材料。でも最終的に3セットで終われたことがよかった」
全豪では7年連続の3回戦進出を決めた錦織は、充実した表情でそう語った。次なる相手は、予選から勝ち上がった勢いをそのままに、二人の格上を下してきたルカシュ・ラツコ(ATPランキング121位/スロバキア)だ。とはいえ、過去2戦2勝を収めている相手に敗れるところは想像しにくい。ここを順当に勝ち上がることができれば、4回戦からはいよいよ茨の道。順当にいけばロジャー・フェデラーと相見えることになるはずだ。(文・井川洋一)