
浩輔はあるときパーソナルトレーナーの龍太と出会い、恋に落ちる。演じる宮沢氷魚さんとの相性もぴったりだ。
「相手が氷魚くんで、本当によかったなと思います。相性がすごく合ったというか、恋人役としてすごく自然に入っていけました。僕が好きなのは、浩輔が龍太にスマホで動画を撮られているシーン。『ええ? 何撮ってんの! やめて?』ってじゃれあってる(笑)。自分の思い出話を、ちょっと酔っ払いながら最愛の恋人に自然に話すってすごくいいですよね。浩輔が恋に極まって『夜へ急ぐ人』を歌い出すシーンも“鈴木亮平”としては恥ずかしいんですが、いい場面だと思います。自分も失恋したときにミスチルの『Over』をカラオケで熱唱したなあ、と思い出したり(笑)」
■愛することはエゴか
愛する人に巡り合えた二人の高揚や多幸感がスクリーンからあふれ出すように自然で美しい。インティマシーシーン(性的な表現のあるシーン)にも挑んだ。
「松永(大司)監督の撮影はドキュメンタリーのようでもありました。大まかなセリフだけで、即興の芝居も多かった。カメラとの距離も近くて、顔のこのへん(30センチほどを指して)にあったりするんです。でもカメラの存在を忘れさせるように撮ってくださって、自然にその役を生きられたかなと思います。
インティマシーシーンは、ゲイ当事者のコレオグラファー(振付師)の方が振り付けをしてくれました。異性間のセックスと同性間のセックスはやはり勝手が違うので、当事者の方が観て違和感をもたれないか、細かくチェックしてもらった。監督とミヤタさんは現場にいる人数を最小限にするなどのケアをしてくれました。最近、僕はドラマ『エルピス─希望、あるいは災い─』で初めてインティマシー・コーディネーターの方とお仕事をしたのですが、そうした方の存在や配慮があると、俳優はやはり安心できる。いま日本のコーディネーター有資格者のお二人は女性なので、今後は例えばゲイの方をはじめ、LGBTQ+当事者とコーディネーターが組んで現場にいるような状況が、スタンダードになってくるかもしれないですね」