日本を目指すフィリピンのマニラ国際アカデミーの卒業生ら。マニラはロックダウン中で、現在はオンラインで授業を行っている/マニラ(撮影/澤田晃宏)
日本を目指すフィリピンのマニラ国際アカデミーの卒業生ら。マニラはロックダウン中で、現在はオンラインで授業を行っている/マニラ(撮影/澤田晃宏)
この記事の写真をすべて見る

 外国人の新たな在留資格「特定技能」が制度開始から2年目を迎えた。昨年の受け入れ数は想定の1割未満にとどまり、技能実習制度で指摘されていた問題もクリアになっていないという。今年はさらに新型コロナが追い打ちをかける。AERA 2020年4月27日号では、「特定技能」に翻弄される様々な人たちの現状を追った。

【写真】ベトナム人技能実習生「教育施設」の実態

*  *  *

 制度開始から1年。受け入れが進まないだけではなく、当初目指したブローカーの排除もかなわず、転職の自由も保障されないとなれば、いったい、何のための制度なのか。

 ただ、そんな議論をする余裕さえなくなりつつある。フィリピン人のライアン・ジョイさん(27)は宿泊業の技能試験に合格し、都内のホテルから内定を得ていた。しかし、3月中旬に内定先のホテルから採用を見合わせると連絡が入った。ジョイさんはこう話す。

「オリンピックがあるからたくさん稼げると聞いていたので、とても残念です」

 そんな話は山ほどある。技能実習生を受け入れる監理団体の一つ、アゼリア協同組合の五百部(いおべ)敏行さん(55)は話す。

次のページ