新型コロナの重症患者を受け入れる病院の集中治療室 (c)朝日新聞社
新型コロナの重症患者を受け入れる病院の集中治療室 (c)朝日新聞社
北海道医療センター呼吸器内科医師 服部健史さん(46)/1973年生まれ。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。ピッツバーグ大学留学を経て2014年から現職(写真:本人提供)
北海道医療センター呼吸器内科医師 服部健史さん(46)/1973年生まれ。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。ピッツバーグ大学留学を経て2014年から現職(写真:本人提供)
相模原中央病院事務長 小倉嘉雄さん(63)/1957年生まれ。製薬会社でMRとして16年間勤務後、97年から相模原中央病院勤務。99年から現職(写真:本人提供)
相模原中央病院事務長 小倉嘉雄さん(63)/1957年生まれ。製薬会社でMRとして16年間勤務後、97年から相模原中央病院勤務。99年から現職(写真:本人提供)

 新型コロナ感染症の最前線で闘う医療関係者たち。現場からのSOSに耳を傾けなければならない。AERA 2020年5月4日-11日合併号では、ひっ迫した現場と向き合う医療関係者らに話を聞いた。

【写真】対応に携わる医療関係者への「不当な批判」に抗議の声明はこちら

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●ワクチンに期待開発が進むまで持ちこたえる
服部健史さん(46)北海道医療センター呼吸器内科医師

 当センターは、急性期病院として3次救急を担う一方で、結核診療も行う第二種感染症指定医療機関となっています。

 北海道では全国でも早い段階で新型コロナウイルスの感染が広がり始め、当センターでは2月21日から感染者の受け入れが始まりました。鈴木直道知事が道内に緊急事態宣言を出して、外出をしないように求める7日前のことです。

 これまでに40人ほどの感染者を受け入れてきました。呼吸器内科主導で治療方針を立てて、人工呼吸器や人工肺が必要になるときは、救急科スタッフの力も借りながら治療にあたっています。

 結核診療の歴史がある当センターでは、もともと感染症の経験を積んでいるスタッフが対応にあたることで、大きな混乱なく感染者の受け入れに移行できました。しかし、未知のことも多くスタッフはみな、不安を抱えながら働いています。

 ガウンやマスクをはじめとした医療用具の不足もそうですが、医療従事者の数はもっと不足しており、感染者が更に増えた場合の診療体制の再編成も深刻な問題です。

 道内では、一時減りかけた感染者が4月からまた増え始めています。このままいくと、入院診療だけでの対応は難しくなるでしょう。あらゆることの先行きが不透明で、診療スタッフも精神的にまいってきており、薄氷を踏むような毎日です。

 現在の感染状況を見ていると、「すぐに終息」という状態にはならないと思います。治療はまだ確立したものがなく対症療法が主体となりますが、いくつかの薬剤が有効であるかもしれないとされています。しかし、どこの施設でも入手できるわけではなく、実際に処方をしていますが、すべての人で明らかな効果を実感できるというわけではありません。

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