コロナ禍で、いままでより大きく膨らんでいる恐れがあるのは、実は「食費」かもしれない。保存のきく食料品や飲料水を必要以上に買い込んでいたり、予算をオーバーしたテイクアウトやデリバリーに頼りすぎていたり……といったことに心当たりはないだろうか。もし食費が突出しているのであれば、コロナ以前の通常生活時の食費に戻していく努力が必要だ。
また外出自粛の影響で、動画の見放題や音楽の聴き放題などのサブスクリプションサービス費が膨らんでいる家庭も多いのではと話すのは、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんだ。
「いまや新たな固定費と言われる“サブスク費”。家で過ごす時間を充実させるためにさまざまなサービスを申し込んだ方も多いかもしれませんが、『結局いま、そんなに活用していないな』というものがあるのであれば、それは解約していくほうがよいでしょう」
このようなイレギュラーな出費を見直したあと考えたいのが、3大固定費(住宅ローン・通信費・保険料)の見直しだ。シニア世代であれば、もう住宅ローンの支払いは完了している家庭が多いであろう。
「ならば一番に考えたいのは、保険の見直しです」と経済ジャーナリストの荻原博子さんは言う。
「バブル期に契約したような、運用利回りの高い個人年金保険などは解約しないほうがいいでしょう。しかし生命保険はそもそも、自分に何かあったときに配偶者や子どもの生活を守るために入るもの。お子さんがもう独立されているシニア世代の家庭なら生命保険にいくつも加入している必要はありません。若いときに契約したからといって、いつまでもズルズルと入り続けることはないのです。解約し、その分のお金をきちんと貯蓄に回していくほうがいいと思います」
シニア世代にとって老後に本当に頼りになるのは、公的年金と現金(貯蓄)だと荻原さんは話す。
「若いころと違って、この先ダイナミックに収入が増えるなどということはないのですから。今後シニア世代は現役世代よりも強く、『自分の現金を減らさない』という意識を持つべきだと思います」
保険を見直したら、次は通信費。荻原さんも前出の中島さんも大手携帯会社の携帯ではなく、格安携帯に変えて通信費を抑えるのもひとつの手だと言う。また前出の風呂内さんは、家の固定電話をなくしてスマホだけにしても問題がないのであれば、固定電話の解約も検討の余地ありと話す。