90年代に高級外車のディーラーが導入し、00年代には国内の自動車メーカーも追随。当時は車検のタイミングで新車に乗り換えるケースが多かったため、月々の支払額が減る残価設定型プランが作られた。
「数年後に乗り換えるタイミングでの残価──つまり下取り価格を査定し、販売価格からそれを差し引いたうえで月々の分割額を計算します。だから通常の分割払いよりも毎月の負担が抑えられるわけです」
「販売価格-残価」の分割払いを終えた後は、(1)自動車を返却する、(2)残価分を支払う=自動車を買い上げる、の2択。キャリアが推す“スマホお返し”プランも、この残価設定型の分割払いとそっくりである。
最新のiPhone14 Pro(128GB。Appleでの価格14万9800円)を例に“本家Appleの分割払い”と、キャリア4社の“残価設定型の分割払い”“通常の分割払い”を比較した。
■Apple本家が最安
Appleの分割払いは手数料ゼロで、一括払いと総支払額は同じ。主要キャリアにおける“通常の”分割払いは4社ともAppleより割高。分割支払い時の総支払額は本家より最大2万6060円高い。
肝心の“残価設定型(スマホお返し)の分割払い”を見てみよう。4社とも毎月の支払いは3千円台。約2年で返却するならAppleより安い。2年目以降の返却も可能で、やはりその後の支払いは不要に。返却せず自分のモノにしたいなら支払いを4年続けるか、残りを一括で払う。要は借金している状態と同じ。4年払った場合の総支払額はAppleより高くなる。
スマホを“お返し”する際、画面割れや故障などで査定基準を満たしていなければ別途2万2千円を払うことになる点も知っておきたい。破損しないように気をつけながら、2年後に本体を返却──本誌の感想だが、返却強制ではない月3千~4千円弱のレンタル……今風にいえばサブスクのようでは?
キャリア側から見たメリットを事実ベースで書くとこうなる。
・2年後に、スマホ本体が返却される可能性が高め
・返却された際、大きな破損があれば2万2千円の手数料
・返却されなかったら最長4年の分割払いが続く。その総額はスマホのメーカー価格より高い