「受信料契約を締結する義務はない」
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NHK(日本放送協会)が映らない装置を付けた場合に受信料を払う必要があるかどうかを争った訴訟の判決で、東京地裁の小川理津子裁判長は6月26日、原告の訴えを認めた。
訴えたのは東京都文京区に住む女性。代理人を務めた高池勝彦弁護士が説明する。
「原告の女性は、NHKが映らなくなるカットフィルターと呼ばれる装置が付いた19インチのテレビを購入しました。民放しか映らないようになっています。NHKが受信できないのだから、受信料を支払う義務はありません」
放送法64条には「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とある。受信できない設備なら契約も不要との主張だ。
同様の裁判は、NHKから国民を守る党の立花孝志党首が過去に起こしている。だが、そのときはテレビの外側に装置を付けたことから、「フィルターを取り外してNHKを見ることができる」などとして原告が敗訴した。
「今回のテレビでは、チューナーの近くにフィルターを埋め込んだ上、硬化剤などに使われるエポキシ樹脂でガチガチに固めてあります。無理に外そうとするとテレビ自体が壊れてしまいます。NHKは容易に復元できると主張しましたが、実験をした結果、受信できる状態ではないと裁判官に判断してもらえました」(高池氏)
このカットフィルター、iranehk(イラネッチケー)を作ったのは、筑波大准教授でメディア工学などを研究する掛谷英紀氏。2013年から開発に取り組み、その翌年にアマゾンで販売を始めた。価格は5千円程度。前述した立花氏の裁判や、今回の裁判にも関わっている。
「3千円で購入した中古テレビに私がフィルターを装着し、その上から金属板などで覆って電波を遮蔽しました。原告となった女性から問い合わせが来たので、テレビを譲る代わりに原告を引き受けてもらえないかと持ちかけたのです」(掛谷氏)