
東京五輪の選手村用地(東京都中央区)は安すぎる──。かねて指摘されてきた都の払い下げ価格に、新たな事実が浮上した。都の想定と、地元・中央区の説明に食い違いがみられ、約20億円も安くなっていた可能性がある。
選手村用地は、晴海にある約13万4千平方メートルの都有地。都は2016年5月に選手村の建設を担う開発業者を募り、同7月に三井不動産や住友不動産など大手11社の企業グループが選ばれた。都は同12月、129億6千万円で売却する契約を企業グループと締結。五輪後、宿舎などをマンションに改修するとともに超高層棟を新設し、分譲や賃貸をしていく内容だ。
都が払い下げ価格のもとにしたのが、開発業者を募る3カ月前に日本不動産研究所がまとめた調査報告書だ。分譲や商業施設による収入から、工事費など「コスト」を引いて土地を評価。五輪期間中に大会組織委員会から得る賃料収入を上乗せし、用地の評価額を129億6千万円とした。
これが約150億円だった疑いがある。開発業者が地元・中央区に払う「開発協力金」をめぐり、都と区の認識にズレが見えたためだ。協力金は、前述の算定式で「コスト」に含まれるため、協力金が上がると評価額が下がる仕組みだ。
協力金は、中央区が一定の規模以上の共同住宅を建てる際、戸数に応じて払うよう求めているもの。公園や学校などの整備に充てる目的だ。都はこうした区の要綱にもとづき、開発協力金を50億9200万円と見積もった。
ところが、昨年9月にあった中央区議会。小栗智恵子議員(共産党)の質問に対し齊藤進・副区長が次のように答弁した。
「開発協力金につきましては、選手村として整備される(既設の)板状棟は、大会後に改めて追加費用をかけて改装工事を行う必要があることから、(略)請求対象といたしませんが、大会後に建設が始まる超高層棟につきましては、負担を求めることとしております」
協力金の請求対象は、あくまで新設の超高層棟だけだというのだ。実際、超高層棟は計約1400戸で、都が想定した5101戸の3割に満たない。