「知り合いの社長にこの3点セットが届いたらどうするかを聞いたところ、大半の方は開封まではすると言っていました。さらにそのうち約半数は、1回は面談してみるとのことです」

 ほかにも現役時代からできる準備はある。その一つが資格取得だ。大塚さんのおすすめは、建築系、設備系、施工系、大型自動車免許、宅建など。特に、宅建は難易度の割に再就職の可能性を広げやすいという。建築工事や土木工事の現場代理人(現場監督)も不足気味。その場合、1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士などの資格が必要となる。

 待遇の変化も気になるところだ。正社員・役員・社外取締役など、どの立場で迎えられるかによって報酬額も大きく変わると、大塚さんは指摘する。

 大手企業から中小企業に正社員枠で入る場合、年収300万円程度から、人によっては1千万円を超えるケースもある。

「同じような経験やスキルでも、人によっては年収に3倍近い開きが出ていることもあります。『60歳を過ぎたら年収は300万円前後』など、一般論をうのみにするのは危険です」

 大塚さんがすすめるポジションが「顧問」。勤め先にそのまま残るケースもあれば、他の会社に非常勤として週に数日通い、営業先に同行したり、アドバイスをしたりするパターンもある。

 企業規模によってもばらつきがあるが、中小企業の場合は週2~3日程度の勤務で月20万円以下が相場。人によっては顧問を掛け持ちして収入を得る場合もあるという。

 望むような求人が見当たらなかったり、年金などで当面の生活資金に困らなかったりする場合は、自分で事業を起こす道もある。

 群馬県桐生市の元信用金庫職員・清水宏康さん(72)は、60歳で定年退職した後、NPO法人「桐生再生」を立ち上げた。市内に残るレンガ造りの文化財を活用したベーカリーカフェを開店。観光バスの立ち寄り場所にもなり、年間約10万人が訪れる人気のスポットとなった。事業を拡大するため、2013年に株式会社化。国の地方経済循環型資金プログラムを活用した。清水さんは言う。

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