すでに戦闘モードの二階幹事長(左端)と二階派(C)朝日新聞社
すでに戦闘モードの二階幹事長(左端)と二階派(C)朝日新聞社
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衆院山口3区の選挙区内で配布されている林芳正氏のリーフレット(C)朝日新聞社
衆院山口3区の選挙区内で配布されている林芳正氏のリーフレット(C)朝日新聞社

 菅義偉首相が否定しても、消えない年内の衆院解散。そんな中、次期総選挙をめぐる“派閥抗争”が自民党内で勃発した。

【写真】二階幹事長にケンカを売った林芳正氏のリーフレット

 自民党の河村建夫元官房長官が10月4日、地元山口3区で400人を集め、総決起大会を開催。まだ、解散時期も判然としないのに、二階俊博幹事長をはじめ、林幹雄幹事長代理、武田良太総務相ら二階派から20人の国会議員らが大挙して駆け付けたのだ。

 険しい表情で挨拶に立った二階氏はこう語気を強めた。

「売られたケンカという言葉があるでしょう。自民党が公認するのは一人だ」

「それに反抗する行為があれば、どういう立場になるのか」

「挑んでくるなら我々も受けて立たざるを得ない。いかなる標的であろうとも、われわれが勝利する」

 完全に戦闘モードなのだ。山口3区は中選挙区時代も含めて、河村氏が連続当選を果たしている。

 二階幹事長のいう「標的」とは誰なのか?

 衆院山口3区から次の衆院選で出馬を目指しているとみられるのは、自民党の元防衛相、林芳正参院議員(岸田派)だという。

 すでに林氏は準備を整え、後援会事務所を山口3区に開設。支援者には『参議院5期25年の実績を活(い)かし、次のステージを目指します!』と衆院選に出馬するような文言が記してあるリーフレットを配っているのだ。

 林氏は蔵相、厚労相などを歴任した、父、林義郎氏のあとを継ぐ形で政界入り。参院当選5回、防衛相、農水相、文科相などの要職を務め、2012年には自民党総裁選にも出馬した経験がるサラブレットだ。

 林氏の父、義郎氏は、中選挙区時代、旧山口1区が地盤だった。同じ選挙区から当選していたのが、河村氏と安倍晋三前首相。

「その後、小選挙区導入で、安倍氏が山口4区、河村氏が山口3区、
林氏は参院とすみわけができてしまった」(自民党の山口県議)

 林氏の所属する岸田派では「岸田(文雄)さんの次は林さん」と言われ、菅首相に岸田氏が敗れたいま、待望論が高い。しかし、ネックになっているのは、林氏が参院議員であること。

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二階派は戦闘モード