映画「泣く子はいねぇが」でヒロインを演じた吉岡里帆さん。今や映画をはじめドラマ、CMなどで幅広く活躍する売れっ子だが、オーディションに受からない時期もあったという。そんな彼女が大切にしていることとは。
【前編/吉岡里帆「泣く子はいねぇが」で挑んだ“生々しさ” やつれた顔も魅力に】より続く
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落ち着いた話し方や、相手の目を見つめる真っ直ぐな眼差しなど、佇まいも誠実で魅力的な女性。どこか儚げな雰囲気もありながら、お芝居にかける情熱は人一倍だ。どんな要求にも応えたいという迫力を感じる。果たして、どこからそんなエネルギーが湧いてくるのだろうか。
「起こることの全てが自分にとっての必然だと感じているんです。だから、困難に直面したときも、苦しい場所を歩いている感覚はありません。人間の心の中にあるちょっとした歪みや機微みたいなものを丁寧に描くことが、日本映画の素敵なところだと私は思っていて。自分が出会ったことのない感情を、お芝居によって知ることができたり、演じながら人って怖いなあとか、人って苦しいなあとか、そういう時間が訪れると、『有り難いな』という気持ちになりますね」
「悔しさが原動力になって、“見返してやるぞ!”みたいに思ったことは?」と聞くと、「表現する仕事に携わっていると、常に新しい感情に出会えることが、一番の糧になります」と答える。
「初めての出来事は、全て宝物だなって思う。味わったことがない感情を味わいたい。そのことにはたぶん貪欲です(笑)。私にとって、嬉しいことと悲しいことは同じぐらい価値のあるもの。そう思うようにしていますし、仕事柄、それは本当にそうだと信じられるようになりました」
学生時代は、地元京都で小劇場の舞台に立ち、自主映画を撮るなどして、積極的に芝居に携わった。上京したのは2015年。最初はオーディションにもなかなか受からなかったというが、ドラマや映画、舞台やCMなど、様々なメディアで活躍する状況など、京都時代には想像だにしていなかった。
「今回ヒロインという立場で出演させていただいているのですが、京都時代の自分が聞いたらすごく驚くと思います(笑)。真ん中に立っている人に直接関わるような役をいただけるなんて思ってもいませんでした。舞台が好きだったので、舞台に立つ、というイメージは明確にあったんですが、今年の初めに出演した『FORTUNE』は海外の制作チームに指導を受けることができたり、先日出演した『ベイジルタウンの女神』では、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの指導のもと、コメディーに挑戦したり。ある時期からは、想像以上の出来事が舞い込んでいます」