オンラインインタビューに答えるボルトン氏。『ジョン・ボルトン回顧録』(朝日新聞出版/2700円+税)は、トランプ政権の内部をつまびらかにしていて世界中で話題に/14日、ワシントン
オンラインインタビューに答えるボルトン氏。『ジョン・ボルトン回顧録』(朝日新聞出版/2700円+税)は、トランプ政権の内部をつまびらかにしていて世界中で話題に/14日、ワシントン
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新型コロナの2度目のワクチン接種をしたバイデン氏。深く分断した社会を修復できるか、世界が注目している/11日、デラウェア州(gettyimages)
新型コロナの2度目のワクチン接種をしたバイデン氏。深く分断した社会を修復できるか、世界が注目している/11日、デラウェア州(gettyimages)

 米国のみならず世界にも衝撃が走った米連邦議会議事堂襲撃事件。これを扇動したとしてトランプ氏は2度目の弾劾訴追を受けたが、この弾劾裁判による有罪確定は難しいようだ。AERA 2021年1月25日号では、前大統領補佐官でトランプ大統領に反旗を翻したジョン・ボルトン氏に、トランプ氏や共和党の今後を聞いた。

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 憲法の弾劾(だんがい)条項を調べたというボルトン氏は、弾劾は在任中の大統領にしか適用できないと指摘する。就任式のある1月20日の正午に、バイデン氏が大統領として宣誓するため、トランプ氏について弾劾裁判による有罪確定は難しいとみる。

 しかし、代わりに「犯罪と解釈できる条項に違反したとして、訴追される可能性については、オープンだろう。刑事事件として訴追されなくても、民事で訴追される例もある。(アメフトの往年の大スターで元妻ら殺害容疑をめぐる裁判が全米の注目を集めた)O・J・シンプソン裁判はそうだった」と説明する。

 トランプ氏は、大統領を退任した後、数々の捜査と訴訟に直面することが確実となっている。最も注目を浴びているのは、ニューヨーク・マンハッタン地区のサイラス・バンス・ジュニア検事長(民主党)が率いる「トランプ・オーガニゼーション」に関する捜査だ。

■トランプと共和党は別

 世界中でホテルやゴルフ場などを経営するトランプ・オーガニゼーションとその幹部、つまりトランプ一家について、保険金詐欺や不正な財務による窃盗などの疑いで、同検事長が内偵していることが、司法文書からすでに明らかになっている。

 現職大統領であれば、刑事訴追を免れるという、司法省の指針による特別な「保護」があるが、“タダの人”となれば保護がなくなり、捜査の対象となる。それに加えて、今回の襲撃事件についての容疑も浮上するというわけだ。

 また、今回の襲撃事件の最中、共和党内の深刻な「分裂」も明らかになった。通常は式典的に全議員が賛成して、次期大統領の勝利を確認する上下両院合同会議で、テッド・クルーズ上院議員らが「選挙は盗まれた」とトランプ氏に賛同し、反対票を投じた。近代米政治史ではなかったことだ。

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