

ドラマ「おっさんずラブ」で、一躍時の人となった俳優・田中圭さんがAERAに登場。AERA 2021年5月3月号-2021年5月10日合併号から。
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笑い声の多い現場だった。この日は午前と午後に複数の番組収録があり、スケジュールは過密だったが、撮影中、冗談を飛ばしてはスタッフを笑わせた。
「さっき占いの番組を収録してきたんですが、『この時期にこういうことがあったでしょ?』って聞かれたんですが、あまり覚えてないんですよね……。最終的に『あなたはスーパーポジティブ』って言われました」
一方で、インタビューでは、質問に対してじっと考える場面もあった。
昨年はドラマ6本に出演、今年は近日公開予定の「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~」を始め、出演映画4本の公開を控える。
「僕もそこそこ経験値があるはずなのに、若手俳優の演技に刺激を受けることは多い」と語るが、「自分が若かったときとは違うなと感じる」と話す。
「僕が若手だったときは、力強く体当たりでぶつかる主役をやった記憶がありません。もっと小賢しいというか、器用に立ち回る感じの役が多かったですね」
2018年の連続ドラマ「おっさんずラブ」で、一躍時の人となった。以来、活躍が続いている。
だが、そこまでのキャリアは決して平坦ではなかった。同作で主演を務めるまでに、150本を超えるドラマ・映画・舞台に出演した。日の当たらない時代は、数多くの“主人公のとなり”で作品を支えてきた。
いまは主役として、座長を務めることも多い。「主役は小賢しいことをしないで、どーんとぶつかればいいと思います。主演じゃないときは、ついつい小賢しいことをしちゃいますね」と笑う。
「表情とか立ち位置とか、ここではこう見られておこうとか……。出過ぎず出なさ過ぎず、すごく計算して演じているということにしといてください(笑)」
(ライター・澤田憲)
※AERA 2021年5月3日-2021年5月10日合併号

