昭和から令和に至るまで、日本歌謡界のトップランナーであり続けた筒美京平さん。希代の名作曲家にして編曲家が亡くなって半年余り。本編集部は、独自アンケート「好きな筒美京平さんの曲を教えてください」を実施した。AERA dot.を通じて4月9~18日の期間に呼びかけたところ、10~70代の1660人が回答を寄せてくれた。最大三つの歌を選べる投票形式で、総数は3021にのぼった。回答から、世代を超えて筒美作品が愛される理由を探った。
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投票してくれた人は「中学時代の甘い思い出」(60代男性)といったコメントのように、当時を懐かしむ40~60代が多かった。ただし、リアルタイムで歌を聴いていない世代にもファンがいる。
東京都在住の男性会社員(31)は「また逢う日まで」「木綿のハンカチーフ」「卒業」(斉藤由貴)に投票した。「カラオケボックスやスナックが好きでよく行くが、『また逢う日まで』は歌っていて気持ちがいいし、スナック常連の“先輩方”にも受けがいい」とコメント。「木綿のハンカチーフ」は、椎名林檎のカバーで聴いてオリジナル曲のよさを知り、「卒業」も「20代で赴任した地方から異動する頃に耳にして、好きな曲の一つになった」。新型コロナウイルスの感染拡大で外出もままならないが、大声で歌える日を待ちわびているという。
国民的アニメ番組の主題歌「サザエさん」(宇野ゆう子)も、筒美ソングを代表する曲だ。この曲を推した東京都在住の60代女性は、しみじみと語る。
「『サザエさん』は50年以上放送されていますがいまだに多くの人に親しまれる番組。そんな番組の主題歌をつくったのが筒美さんだというのはとても印象的ですね。いまのポップスは歌詞にしてもメロディーにしても複雑になりすぎて、私たちの世代にはわかりにくい。筒美さんの曲のように広い世代に時代を超えて愛される音楽は少なくなっている気がします」