


まだ5月なのに、もう熱中症の話? そう思う読者も多いだろう。だが、酷暑を無事に乗り切るカギは、今この時期の過ごし方にこそある。温暖化による気温の上昇やコロナ禍の影響で、今年も「キケンな夏」になりそう。あなたの身を、熱中症のリスクから守る術をお伝えしよう。
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日本気象協会は4月、熱中症予防に有効な「暑熱順化」のやり方をまとめたマニュアルをウェブサイトで公開した。暑熱順化とは、簡単に言えば「暑さ慣れ」のことで、徐々に体を夏モードに変えていくことを指す。
同協会でマニュアルを作成した「熱中症ゼロへ2021」プロジェクトのリーダー、曽根美幸さんは、
「昨年は気温が急に上がった6月に熱中症の搬送者が増え、前年の1・5倍にのぼりました。これは暑熱順化ができていなかったこともひとつの要因ではないかと考えられ、今年は早い時期に暑熱順化を呼びかけました」
と発表の経緯を語る。
そもそも日本には四季があり、春から徐々に気温が上がって夏を迎える。本来なら自然に暑熱順化ができるはず──。だが、あえて呼びかけるには、それなりの事情がある。同プロジェクトの監修を務める帝京大学医学部救急医学講座教授の三宅康史さんは話す。
「その一つは高齢化です。私たちは年をとるほど暑さに弱くなり、熱中症のリスクが高まります。誰もが毎年1歳ずつ年をとるわけですから、去年まで大丈夫だったから今年も平気だろうというのは過信でしかない。積極的に暑熱順化をしてもらう必要があるのです」
二つめは温暖化による夏の気温上昇。三つめはコロナ禍による巣ごもり生活で外出する機会が減り、自然な暑熱順化ができにくくなっていることが挙げられる。いずれにせよ、今の時期から積極的に備える必要がある。
では、私たちの体はどうやって暑熱順化、暑さに慣れていくのだろうか。温熱生理学を専門とする大阪国際大学人間科学部教授の井上芳光さんが、次のように説明する。
「暑さ慣れとは、暑さや運動で生まれた過剰な熱を、うまく体外に逃がす体になることを言います」