定年直前でも4割の人が理解していない「企業年金」
次に企業年金を確認しましょう。
企業年金は会社からもらえる年金だというお話をしてきました。しかし、驚くべきことに、会社員で企業年金についてよく知っているという人はほとんどいません。
「うちの会社にそんな年金あるのかな?」「それって退職金とは別物?」と、その存在すら知らないまま働いている人が多いのです。
日本の会社員は、長い間、終身雇用のもとで働いてきました。その歴史の中で「退職金や老後の話は会社に任せておけば安心」といった風土が根強くあるようです。社員は「定年まで勤めるとまとまったお金がもらえて、それで老後は過ごせるらしい」といったぼんやりとした認識しか持たず、自分がいつ、いくらもらえるのか、確認せずに定年を迎える人がいまだに多いのです。
野村総合研究所が会社員6万人を対象に行ったアンケートでは、定年年齢直前の55~59歳でも4割の人が企業年金の受取額が「わからない」と回答しています。
50代半ばになったら、企業年金・退職金の確認を
これまでもお伝えしてきたように、企業年金とは、会社の退職給付制度のひとつです。会社の退職給付制度には次の3つのパターンがあります。
(1) 退職一時金制度
(2) 企業年金制度
(3) 退職一時金制度と企業年金制度の併用
(1)の退職一時金制度はいわゆる「退職金」と呼ばれるもので、退職時に一括で受け取ります。(2)が企業年金です。こちらは、退職金のように一括で受け取る方法、または年金のように分割して受け取る方法が選択できる制度です。最後の(3)は、退職金と企業年金の両方がある会社です。これは公務員や大企業などに多いパターンです。
自分の退職給付制度は、会社の退職金規定を読むと確認できます。会社によっては就業規則の中に退職金規定を定めている場合もあります。
退職給付制度を設けるか否かは会社の自由ですが、設けた場合には、必ず退職金規定を作らなければなりません。読みたいときにいつでもアクセスできるよう、社内のイントラネットなどでオープンにしている会社もあります。そうでない場合も、社員であれば誰でも読むことができますので、人事や総務に問い合わせてみましょう。
「そういえば、入社したときに読んだことがあるな」という人も、最新のものを確認するとよいと思います。就業規則や退職金規定は、会社の都合で勝手に変わることはありませんが、自分が知らない間に労使合意があり退職給付制度が変わっていることもありえます。
「退職金がいくらもらえるか」も、退職金規定に計算方法が示されています。ただし、最近は「勤続年数が何年ならいくら」といった、単純な計算方法ではない場合も多くなっています。金額が知りたいときは、人事や総務に聞いたほうがよいでしょう。ひと昔前は、退職金の問い合わせをすると「会社を辞める気か?」と勘ぐられましたが、今はそんな心配はご無用。「老後のライフプランに必要だから」といえば、見込額を教えてくれます。