作家・室井佑月氏は、自民党の傍若無人ぶりに辟易する。
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ボクシング漫画の『はじめの一歩』のワンシーンが浮かんだ。たしか、不動のチャンピオンがいて、そのチャンピオンに勝ちたい男と、そのチャンピオンのようにいつしか自分もなりたいと願う男、どちらが強いかという話だった。もちろん、強いのはチャンピオンに勝ちたい男だった。
2019年参院選広島選挙区の公職選挙法違反事件。自民党から河井陣営に流れた1億5千万円問題はこのままうやむやになるのだろうか。
5月18日に岸田文雄前政調会長がBSの番組に出て、こういっていたけれど。
「1億5千万円を出したその後、それを何に使ったか、これを明らかにしてもらいたい」
飛べない男と揶揄(やゆ)されるが反知性主義には見えない岸田さんが立ち上がった。あたしはそれを良い兆しとして受け取った。
日本が今のままでいいわけないでしょ。公文書の廃棄や隠蔽(いんぺい)、国会軽視で重ねる嘘、ゆがめられ改正までいきそうな憲法、壊れた三権分立、権力の私物化etc……。
目に見える感じでダメになったのは、7年8カ月に及んだ第2次安倍政権からだ。総裁に返り咲いて以降、6回の衆参議院選挙で勝ち、仲間や友達を優遇し、それ以外の人間には、勝ったのだからなにをしてもいいだろうという感じであった。
しかし、その傍若無人さは、新型コロナウイルスには通用しなかった。マスコミは恫喝(どうかつ)できるがコロナはできない。
安倍さんは再び体調不良で総理の座から退くことになったけど、本気でそう思っている人はいるのか? だとしたら、なぜ医師の診断書はなかったのか? アベノマスクの滑稽さは? 自分の選挙のために1年延期と決めた東京五輪も思うようにいきそうもなく、すべてが面倒臭くなったんじゃないか? そして、ここに来て、19年参院選広島選挙区の公職選挙法違反事件に、安倍さんが深く関わっているから、ともいわれている。というか、安倍さんが関わっていない方が不自然だろう。河井案里氏は、元々、安倍さんの私怨(しえん)から、立たされた候補なのだから。