「そうした親は子のためというより、自己満足のために子の婚活をしているケースがほとんどではないでしょうか。『孫が見たい』という願望や、世間体を気にしたり、結婚相手の条件を押し付けたり。年配になるほど、そうした傾向があります。親のフィルターを通して見た結婚と子の生き方や価値観を通して見た結婚は違う。親子が折り合わないケースもあるので注意してほしいです」

 都内に住む独身女性(36)は、こうしたケースに悩まされているという。父(74)と母(70)が住む静岡の実家を離れ一人暮らし。2人いるきょうだいはすでに結婚し、子どももいる。自身に結婚願望はあるが、今、交際相手はいない。

「あるあるだと思いますが、実家に帰るたびに母から『いい人はいないの?』とか『友達の○○ちゃんのお子さん、○歳になったみたい』って。その話題になると自室に戻るのが定番。昨年暮れに代理お見合いの資料を見つけたときは絶句してしまいました」

 親心から心配してくれているとは理解しつつ、結婚相手は自分で見つけたい。勝手なことをしないでほしいと告げて、その後しばらくは連絡を取らなかったという。

 親子で手を取り合って結婚という目標に向かえるか、親子関係にヒビが入るのか。代理婚活の成否は紙一重でリスクも大きい。それでも親に頼むメリットはどこにあるのか。宮越さんは「親と子、双方にとっていい点がある」と話す。

「親側のメリットは、親同士が先に会って情報交換をすることで、互いにどんな家なのかがわかっていること。両家の付き合いが円滑になります。さらに結婚後、親同士が応援し、口を出さず子どもたちを見守るという傾向があります」

 婚活の場に出ることは、親にとって想像以上に心理的負担があるのだという。子の結婚というゴールを見届けることで達成感を得て、その後は干渉の度合いが減り、子どもの家庭とはいい距離感を保つことが多いようだ。

「当事者である子ども側のメリットは、結婚相手を自分の親に会わせるというハードルがなく、安心感があること。親が見定めて認めてくれた相手なので、結婚までが早いんです。婚活交流会から4カ月で結納までいった方もいます。嫁姑問題に悩まされることが少なくなることもいい点かもしれません。そうした理由からか、成婚された方で離婚したという報告は聞いたことがありません」(宮越さん)

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