【米ビルボード・ソング・チャート】BTS「Butter」首位返り咲き、カニエ・ウェストTOP10に2曲送り込む
【米ビルボード・ソング・チャート】BTS「Butter」首位返り咲き、カニエ・ウェストTOP10に2曲送り込む
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 BTSの「Butter」が1位に返り咲いた、今週の米ビルボード・ソング・チャート。

 6月5日付チャートで1位に初登場してから7週をキープして、7月31日、8月7日、そして今週通算10週目の首位を記録した「Butter」。10週以上首位を獲得したのは、2020年1月18日から3月28日まで11週間を記録したロディ・リッチの「ザ・ボックス」以来で、史上40曲目のタイトルとなる。

 「Butter」が今週首位に返り咲いたのは、8月27日にメーガン・ザ・スタリオンをフィーチャーしたリミックスがリリースされたため。リミックスの反響により、前週比108%増加の143,000を記録してデジタル・ソング・セールス・チャートでも14週目の首位をキープ。110%増加の1,070万回を記録して、ストリーミング・ソング・チャートでは35位にリエントリーを果たしている。両チャートでは、いずれも今週最も伸びた曲に贈られるSales Gainer、Streaming Gainerを獲得した。

 なお、チャートのルールにおいて、リミックスがオリジナルのアクティビティを上回った場合はゲストがクレジットされるが、「Butter」のリミックスはHot 100とセールス・チャートでオリジナルを上回らなかったため、メーガンのクレジットは外されている。一方、ストリーミング・チャートではリミックスが上回ったため、メーガンがクレジットされた。

 先週まで4週間トップを維持したザ・キッド・ラロイ&ジャスティン・ビーバーの「ステイ」は、「Butter」の浮上により今週2位にダウンしたが、各ポイントは安定していて、エアプレイ・チャートでは6位から4位にTOP5入りを果たしている(7,180万回 / 15%増加)。

 首位獲得が期待されているエド・シーランの「バッド・ハビッツ」も2位から3位に順位を落としたが、こちらもラジオが好調で、エアプレイ・チャートでは先週の3位から1位に上昇(7,580万回 / 3%増加)。エド・シーランは、「シェイプ・オブ・ユー」(2017年 / 12週)、「パーフェクト」(2018年 / 9週)、「アイ・ドント・ケアwithジャスティン・ビーバー」(2019年 / 1週)に続く4曲目のNo.1タイトルを獲得した。

 オリヴィア・ロドリゴの「good 4 u」が3位から4位、ドージャ・キャットの「キス・ミー・モアfeat.シザ」も4位から5位にそれぞれダウンし、6位にはカニエ・ウェストの「Hurricane」が初登場した。

 「Hurricane」は、今週のアルバム・チャート“Billboard 200”でNo.1デビューを飾った新作『Donda』の収録曲で、アルバムからはその他にも10位に「Jail」が初登場するなど、100位内に計23曲をランクインさせた。同週にランクインしたタイトル数としては、ドレイクがもつ24曲に次ぐ歴代2番目の高記録となる。

6位「Hurricane」
10位「Jail」
11位「Off the Grid」
12位「Ok Ok」
16位「Junya」
17位「Moon」
20位「Praise God」
26位「Jesus Lord」
27位「Jonah」
28位「Believe What I Say」
30位「God Breathed」
40位 「Remote Control」
42位 「Heaven and Hell」
43位 「24」
52位 「Pure Souls」
53位 「No Child Left Behind」
58位 「Donda」
59位「Keep My Spirit Alive」
63位「Jail Pt 2」
68位「New Again」
70位「Lord I Need You」
77位 「Come to Life」
90位「Tell the Vision」

 「Hurricane」と「Jail」がランクインしたことで、Hot 100にTOP10入りしたタイトルを通算20曲目に更新したカニエ。本作にはフィーチャリング・アーティストのクレジットがないため、それぞれの記録には結びつかないが、「Hurricane」にはザ・ウィークエンドとリル・ベイビーが、「Jail」にはジェイ・Zがそれぞれゲストとして参加している。

 ストリーミング・チャートでは、初週2,900万回を記録して「Hurricane」が1位、2,420万回を記録して「Jail」が3位にそれぞれデビューした。ストリーミング・チャートでの首位獲得は通算3曲目の快挙となる。「Hurricane」は、その他R&B/ヒップホップ・ソング・チャート(8曲目)、ラップ・ソング・チャート(10曲目)、クリスチャン・ソング・チャート(3曲目)、ゴスペル・ソング・チャート(3曲目)でもそれぞれ1位に初登場し、5つのチャートを制した。()内はそれぞれの首位獲得数を示している。

 カニエのタイトルがランクインしたことで、リル・ナズ・X&ジャック・ハーロウの「インダストリー・ベイビー」は5位から7位に、デュア・リパの「レヴィテイティング」は6位から8位にそれぞれ順位を落とした。続いて9位には、米アラバマ州出身のカントリー・シンガー=ウォーカー・ヘイズの「ファンシー・ライク」が先週の11位からランクアップして自身初のTOP10入りを果たしている。

 自粛期間中に家族と作成した子供向けのダンス動画がTikTokでヒットし、徐々に順位を上げてきた「ファンシー・ライク」だが、今週ポイントが上昇したのは、8月23日から公開された米ファミリー・レストランのアップルビーズのCMソングに起用されたため。歌詞の中にも登場するオレオシェイクが同曲のヒットを受けて期間限定で再発売されるなど、話題を呼んでいる。

 CMの宣伝効果により、ストリーミングは前週から9%増加の1,740万回、エアプレイは21%増加の1,220万回、セールスも21%増加の29,400にそれぞれ上昇し、カントリー・エアプレイ・チャートでは23位から19位に最高位を更新。カントリー・ソング・チャートでは8週目ののNo.1に輝いた。また、ポップにクロスオーバーした「ファンシー・ライク」は、ポップ・エアプレイ・チャートでも今週39位にエントリーしている。

 ウォーカー・ヘイズが所属するモニュメント・レコードでは、ビリー・グラマーの「ゴッタ・トラベル・オン」(1959年 / 最高4位)、ディクシー・チックスの「ランドスライド」(2003年 / 最高7位)に続く3曲目のTOP10入りで、ソニー・ミュージックがレーベルを再開した2017年からは初のランクインとなる。

 セールスとストリーミングが初週に集中する昨今のチャートでは、上位に初登場するケースが多く見受けられるようになったが、初登場ではなく圏外からTOP10入りしたのは、5月15日付チャートで23位から8位に上昇したザ・キッド・ラロイ&マイリー・サイラスの「ウィズアウト・ユー」以来、約4か月ぶりとなる。その間TOP10には計20曲のタイトルが初登場した。

 次週は、アルバム・チャートで上位デビューが期待されているドレイクの新作『サーティファイド・ラヴァー・ボーイ』から、収録曲が多数ランクインすることが予想される。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは9月10日以降掲載予定となります。

◎【Hot 100】トップ10
1位「Butter」BTS
2位「ステイ」ザ・キッド・ラロイ&ジャスティン・ビーバー
3位「バッド・ハビッツ」エド・シーラン
4位「good 4 u」オリヴィア・ロドリゴ
5位「キス・ミー・モア」ドージャ・キャットfeat.シザ
6位「Hurricane」カニエ・ウェスト
7位「インダストリー・ベイビー」リル・ナズ・X&ジャック・ハーロウ
8位「レヴィテイティング」デュア・リパ
9位「ファンシー・ライク」ウォーカー・ヘイズ
10位「Jail」カニエ・ウェスト