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「S&P500にも不安要素はあります。米国株は、この5年間は特に調子がよかったのですが、2022年は物価高と金利上昇により20%以上も下落しています。
日本のS&P500の投信は1ドル=140円台の円安に助けられて基準価額は下がっていませんが、『S&P500の指数自体』は好調ではないです。
しばらく成長スピードが鈍化する恐れもある。幅広く米国株全体に分散投資する全米株式が、長期投資ではいい結果につながるかもしれません」
今から20年前の2002年、頭角を現していたのはマイクロソフトだけ。まだiPhoneは発売されておらず、アップル株は急上昇前だった。グーグルは上場すらしていなかった。アマゾンのネット通販はあったが、「アマゾンプライム」の開始は2005年だ。
そしてメタ・プラットフォームズ(フェイスブック)は2022年に株価が半値以下まで下落、全米の時価総額トップ10から脱落した。これから20年後に、こうした巨大企業の景色が激変している可能性は十分にある。
一番ラクで簡単な方法
資産運用ユーチューバーの小林亮平さんにも、「S&P500と全米株式、どちらがいいか」というお題で取材した。小林さんの考え方は新鮮。ラクで単純なほうを選ぶ考え方だ。
「個人的にはニュースなどで値動きをチェックしやすいS&P500がいいかなと考えます。ただ、楽天証券を使っているならiDeCoもつみたてNISAも楽天証券で一元化したほうが簡単なので『楽天・全米株式インデックス・ファンド』でも全く問題ないと思います。
『S&P500か全米株式か』より、iDeCoとNISAの口座を同じ証券会社にして、運用する投信もどれか1本にそろえると、わかりやすいしラクに運用できると思います」
なるほど。常に相場を見ているわけでもなし、どちらか1本に「えいっ」と決めて揃えたほうが、いろいろと簡単ということだ。初心者メインで情報発信をし続けている小林さんならではの考え方かもしれない。
(構成/編集部・中島晶子、伊藤忍)
※『AERA Money 2022秋冬号』から抜粋
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