ウクライナでは代理出産が法律で認められている。外国人夫婦からの依頼が多く、人気を呼んでいるという。なぜウクライナは、代理出産で注目を集めるようになったのか。2022年11月21日号の記事を紹介する。
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ウクライナでは報酬を得て代理出産をすることが法律で認められているが、いくつか条件がある。代理出産を依頼できるのは法律に基づいた結婚をした異性愛者同士の夫婦に限られている。さらに、女性が妊娠または出産ができないことを医師が診断し、その証明書を提出しなければならない。
代理出産で生まれた子どもは、依頼した親の一方または両方と生物学的なつながりがなければならず、代理母とは生物学的なつながりを持たない。
リビウのこのエージェントでは、さまざまな正式な法的書類の準備や手配を、代理店と契約した弁護士が関わって整えるという。子どもの誕生後、出生証明書に記される親は、代理出産を依頼した夫婦になる。代理出産でウクライナの人気が高い理由の一つが、この出生証明書にあると言われる。
代理出産に関する法は各国でさまざまだ。ロシアでは代理出産は合法(外国人などの依頼による代理出産を禁止する法案が審議中)だが、「代理母の同意が得られたら」出生証明書に依頼者の名前を親として記載ができるという。つまり、代理母が契約後でも心変わりすれば、自分の子どもにすることが可能だ。また英公共放送BBCによると、国によってはこの出生証明書で子どものパスポートの取得や、依頼した夫婦の国への「帰国」がはるかに容易になるという。
代理出産をめぐっては、女性の身体や生殖機能を商品化しているなどと批判する声は多い。生まれた子どもに障害があることがわかると、引き取りを拒否する夫婦がいるなど、さまざまな問題も明らかになってきた。
こうしたことを受け、インドやタイでは外国人の依頼による代理出産を禁止した。世界的に代理出産をめぐる規制が強まるなかで、ウクライナが注目を集めるようになった。