小倉美咲ちゃん(家族提供)の情報提供は山梨県警大月警察署(TEL0554―22―0110)へ。家族が開設したHPアドレスはhttps://misakiogura.com/
小倉美咲ちゃん(家族提供)の情報提供は山梨県警大月警察署(TEL0554―22―0110)へ。家族が開設したHPアドレスはhttps://misakiogura.com/

「カラーリングはキャンプに行く1週間前にはしていました。直後の会見は夕方で、画面越しに色が伝わりませんでした。髪を切ったのは捜索のためです。チラシを配るとき、『美咲の髪の長さはこれくらいです』と言えばわかりやすいと思いました。行動の一つひとつに込めた意味が伝わらず、うわさと臆測だけが広がっていきました」

 影響は実生活にも及び、店に無言や怒鳴りつける電話が相次いだ。自宅を見に来て長女に話しかけ、そのことをSNSに投稿する人もいた。「お店に行っても『美咲ちゃんのお母さんこんなの買ってる』と店員さんにツイートされるのではと思うと、外に出られなくなりました」と振り返る。

 支援者に訴訟を勧められていたが、すぐに行動するのは難しかった。

「当時は毎週のように山梨でチラシ配りをしていて、余裕がなかった。気持ちの問題もありました。いじめの被害者は『悪いのは自分』という心境に陥り、行動を起こせなくなってしまうと言います。私も『美咲が行方不明になったのは、ついていかなかった自分のせいだ』と責めていました。そうして我慢を続けたことで中傷はエスカレートしてしまいました」

 昨年、コロナの感染拡大でチラシ配りが物理的にできなくなり、自身に対する誹謗や中傷に目を向ける時間が増えた。

「私の話題が尽きると家族攻撃が始まったんです。『長女が美咲を虐待していた』『両親は長女が可愛くて美咲ちゃんは邪魔だった』など、ネット上では好きなように考察が展開されていました。美咲は『もう生きていない』と断定する言葉もありました」

 木村花さんが自殺し、ネット上の中傷をめぐり世論が大きく動いたことにも背中を押された。

◆今のネット社会 作ったのは大人

「子どもが思い悩む姿を見るのは苦しい。長女は現在小学6年生で、書き込みをいつ目にしてしまうかもわかりません。今のネット社会がこのような姿になっているのも、突き詰めれば大人の責任です。親として今、やっておかなければという気持ちが強くなりました」

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