イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

  衆院は14日に解散、31日に投開票と決まった。当初の予測から選挙の時期を早めたのには、二つ理由があると考えている。

 一つは、新型コロナウイルスの感染者が減っている間に行いたいという思惑があるからだろう。11月下旬には第6波の到来によって、感染者は再び上昇傾向に転じるとも言われている。そうなれば、いまだコロナ対策への解を見いだせていない政権は追及される。

 そして二つ目は、コロナ対策を含め、国会で野党に追及する時間を与えるのが嫌だからであろう。森友・加計疑惑の再調査問題や、甘利幹事長の金銭授受疑惑などスキャンダルは山積している。

 こうした選挙日程で、野党はどれほど議席を増やせるのだろうか。菅政権下では現有議席から70議席減との予測があったが、今回はそこまではいかずとも30議席前後減らすのではないかと予想している。菅政権末期は支持率が20%台だったが、岸田政権は5割を切るほどと多少持ち直しているからだ。

 しかし、発足直後の支持率としては予想以上に低く、党内の危機感は強いはずだ。短い期間で大きく支持を伸ばすことは考えづらく、となれば選挙が早まるのは必然だろう。野党に与えられた時間は多くない。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2021年10月22日号

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