イラスト/ウノ・カマキリ
イラスト/ウノ・カマキリ

 11年の東京電力の福島原発事故以降、自民党の国会議員たちの多くは、エネルギー問題にかかわることをタブーとしてきたのだ。だから、地球環境問題など、意識とは無縁の存在だったのである。

 それが昨年10月、ようやく菅首相(当時)が所信表明演説で、日本も2050年温室効果ガスゼロを実現すると宣言した。ただ、これも自主的とはいえず、アメリカ大統領が環境問題に前向きなバイデン氏に代わるため、足並みをそろえたと捉えている。

 石炭、石油などの化石燃料をゼロにするだけでなく、自動車も電化し、工場などで発生しているCO2をゼロにしなければならないのである。いわゆるカーボンニュートラルだ。

 だが、何年までにどの程度の化石燃料を減らすのか、現時点ではきわめて曖昧(あいまい)で、原子力発電を何基稼働させるかさえ決まっていない。国民の多くは原発反対だが、自民党内では、30基近く稼働させるという動きも強まっているようだ。

 地球環境問題が深刻になって、資本主義では持続が困難ではないか、と懸念する経済学者が多くなった。どうすればよいのか。

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

週刊朝日  2021年10月29日号

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