大笑いしながら少し泣きたい気持ちにもなる。なぜこの身体の権利を語ることはこれほど難しいのだろう。意見交換では「胎児の生命、身体の保護」を繰り返す法務省の官僚に塚原久美さんはこう言っていた。

「国連の(自由権規約に関する)人権委員会での議論はご存じですか? 人権は生まれた後に発生すると結論が出ています。胎児の権利を理由に女性の人権を侵害するのは間違いなのです」

 人権は生まれた後に発生する。それは誰にも奪われてはいけないもの。その一言を、たくさんの「てんびん」に載せられながら、責められながら、命の危険を感じながら、実際に罰せられながら、世界中で女性たちは語ってきた。そして今もなお、まだ語りつづけなければいけないのだと思う。

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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