「自民党の国会議員たちの神経がたるみきっている。なぜこうなったのだ」と問うと菅氏は、「弁解も反論もできない。野党が弱すぎるのと、小選挙区制になって、自民党の国会議員たちがみんな安倍さんのイエスマンになってしまったのだ」などと答えた。
日本の政治の最大の問題は、政界に緊張感がないことだ。
野党を強くしなければならないのは当然だが、その前にジャーナリズムにできることがあるはずだ。
今回の森友裁判終結はむちゃくちゃだ。一方的に打ち切って、検察も官僚も真相解明の機会を閉ざした。これは忖度(そんたく)の集大成だろう。
河井克行元法相と案里夫妻の金銭スキャンダルも、忖度では同じ構図だ。検察は河井夫妻を起訴したが、彼らは協力者である。もっと深いところに裁かれるべき者がいるはずだが、検察は自民党本部に対しては何もしていない。猫を追うより皿を引かねばならないのではないか。
何を隠しているのか。もっとマスコミが追及しなければならないはずである。ジャーナリズムが権力にも検察にも容赦なく立ち向かわなければならないのだ。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2021年12月31日号