自民党と旧統一教会の関係が取り沙汰されている。両者はどのように関係を深めていったのか。旧統一教会問題を長年取材してきた鈴木エイトさんに聞いた。AERA 2022年9月12日号の記事を紹介する。
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──7月に奈良県で安倍晋三元首相が銃撃されて以降、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の存在がクローズアップされている。教団を長年取材してきたジャーナリストの鈴木エイトさんが9月26日、『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)を出版する。インタビューは、鈴木さんが注視し続けてきた自民党と教団のつながりについて聞くところから始まった。
銃撃された安倍元首相と教団とのつながりをたどると、祖父の岸信介元首相に行き着く。1968年に設立された教団の政治組織「国際勝共連合」。設立には、岸氏の多大な貢献があったとされ、初代名誉会長には岸氏と親しかった笹川良一・日本船舶振興会会長(当時)が就任している。
「祖父から始まる流れが、父の安倍晋太郎元外相を経て、安倍元首相に受け継がれていたのは事実です。ですが、安倍元首相は、祖父や父に比べると教団から距離をおいていた形跡があります。私が教団と関わるようになった2002年ごろは、そのつながりは非常に細々としたものでした。
変化があったのは05年。『天宙平和連合(UPF)』の創設大会に祝電を打ち、翌06年にもUPFの地方大会に祝電を打ったことです。
■安倍氏も「気をつける」
初めて明確なつながりが公になったわけですが、霊感商法などの被害が生じていた中での祝電は批判され、事務所は当時、『誤解を招きかねない対応であるので、担当者にはよく注意した』とのコメントを発表しました。安倍氏自身も後日、周囲に『あれは事務所が勝手に送ってしまった。以後、気をつけるよう注意する』と話しています。
旧統一教会と安倍氏は、まだそれほど深い関係ではなかったということでしょう。数ある宗教右派の中の一つで、ましてや選挙で組織票支援を頼むほどではありませんでした」