
コロナ禍でも世界中を飛び回って活躍する「魂のピアニスト」フジコ・ヘミングさん。2月にはウクライナでも公演が予定されていたが、ロシアによる侵攻で中止になった。全ての運命を受け入れてきた彼女の美学とは?
今年2~3月、ウィーンやプラハ、ブダペストを回ってコンサートを開催した。チケットはすべてソールドアウト。ウクライナでも公演が予定されていたが、ロシアがウクライナに侵攻したことを受けて、公演は中止となった。
フジコさんの行動は早かった。日本に戻ると、5月に開催予定だった東京文化会館でのコンサートを、ウクライナの子どもたちに向けたチャリティーコンサートにすることにしたのだ。といっても、別に来場者に寄付を募るわけではない。ただ、自分の出演料をすべて、友人である黒柳徹子さんに相談し、ユニセフに寄付することに決めた。手続きも、誰かに任せるのではなく、すべて自分でした。
「母が亡くなったことを知らされて、日本に帰ってきたとき、私は60歳を過ぎていました。ピアノを学ぶためにヨーロッパに渡って、もう35年ぐらい経っていたけど、ヨーロッパで、夢を追いかけているときは貧乏暮らし。生活が安定したのは、夢を諦めてピアノ教師になってからでした。日本に帰ったら、住む家はあるけど仕事がなくて、また貧乏生活に逆戻りだったから、流れ星に向かって、『お金持ちになりたい』って言ったことあるの。そしたら何年かして、NHKのドキュメンタリー番組に出て、有名になって、願ったことが本当になっちゃった(笑)。お金があると、いっぱい猫を助けることができるし、昔なら、道端に物乞いの人がいても100円あげるのがせいぜいだったのが、今は困っている人に、何百万っていうお金を送って、助けることができる。それが、ありがたいと思います」
お金は、最低限あれば何とかなる。貧しいときも、何か一つでも望みを持ち続けられれば、どうにかなる。そう思って生きてきた。だから、今も贅沢(ぜいたく)はしない。