
■トランプ氏のお墨付き
今年11月8日投開票の中間選挙を迎えるにあたり、多くの有権者が「票はきちんとカウントされるのか」「選挙が不正だとして、選挙のたびに暴動が起きるのか」と不安に思うのは無理もない。
トランプ氏の影響力は、今も絶大だ。1.6の直後、ツイッターなどソーシャルメディアの同氏のアカウントは凍結された。しかし、「第45代大統領 ドナルド・トランプからの声明」と題するEメールを日に数本発信。「盗まれた選挙」「大きな嘘」という言葉を繰り返し、それに共鳴した下院議員らの発言を漏らさずメールで取り上げ、彼らをスターに祭り上げている。
今回の中間選挙で選ばれる数千人の州や地方自治体議員・要職を押さえ、24年大統領選挙で政権を奪回したい共和党は、この「トランプのお墨付き」にあやかろうと必死だ。
米紙ワシントン・ポストによると、激戦州ミシガン州の共和党本部は、選挙戦の戸別訪問委員会のメンバーとして、トランプ氏の不正選挙説に同調する人物をリクルートしている。
西部コロラド州のトランプ支持者らは、保守系のソーシャルメディアを通じて、フォロワーに中間選挙の各候補者らの選対本部に就職するよう呼びかけている。
米調査機関ピュー・リサーチ・センターの調べによると、「トランプ氏に主要な政治家でいてほしい」と答えた共和党員の割合は、昨年1月に57%だったが、同年9月には67%と10ポイントも上昇している。
つまり、議事堂で血が流れても、多くの共和党員がトランプ氏に否定的な考えをもつには至らなかった。
■チェイニー氏娘は批判
キニピアック大学の世論調査によると、1.6議事堂襲撃事件は、民主党支持者の93%、無党派の56%が事件は政府への攻撃だとの考えを示した。ところが、共和党支持者ではわずか29%にとどまった。
また、ピュー・リサーチ・センターの調査では、暴徒を訴追することが重要だとみる共和党支持者も減っている。昨年3月に79%だったのが、同年9月時点では57%に減少。これに対し、民主党支持者の間では95%と一貫している。
襲撃事件は政府への攻撃ではなく、また暴徒を訴追しなくてもいいとする理由は、「20年大統領選挙は(票が)盗まれた」と信じる共和党支持者が増え続けていることを示す。