そんなネパールからの留学生が、千葉モードビジネス専門学校には303人いる。467人の留学生を受け入れているが、その大半はネパール人だ。
「うちの生徒たちも、ダサインの時期になると帰ることが多かったんです。でも、お金もかかるし、学校もアルバイトも休まなければならない。学費を自分たちで稼いでいる彼らにとってはたいへんです。だったらもう、うちで主催しようと、2014年からダサインをはじめました」
と語るのは同校の理事長、後藤康夫さん。
「これも授業の一環で、学校行事のひとつなんです。学校でダサインをはじめてからは、帰国する生徒はずいぶん少なくなりました」
タマンさんも、
「家族とは会いたいけれど、学校でダサインができるのであまり寂しさも感じないです」と言う。
いまや273万人の外国人が暮らすようになった日本(2018年末、法務省による)。人口の2%を超えるまでになった彼らは、自分たちの生活基盤を、自分たちの手で日本の中につくりあげてきた。それは食材店やレストランにはじまり、送金業者やリサイクルショップ、新聞雑誌といったメディアなど多岐にわたる。とりわけ重要なものが宗教施設やお祭りだ。生活の規範である宗教や、自分たちの文化を象徴するお祭りは、いわば「心のインフラ」といえるかもしれない。生活にはどうしても必要なものなのだ。
海外で暮らす日本人だって、現地で盆踊りなどのお祭りを開き、交流のきっかけにしている。日本で生きる外国人も同じことで、たとえばタイ正月や、イスラム教のラマダン明けのお祭りなども、地域の日本人も一緒に行われている。しかしダサインは学校主催ではじまったという点で、ユニークな存在かもしれない。
■内定率90%、どんどん日本で就職していく留学生たち
「はじめはビルの会議室とかパーティールームを借りていたんですが、事後に『カレーの匂いが残っている』なんて苦情も寄せられて(笑)。去年からこの千葉中央公園に移りました」(後藤さん)