ペットはもはや大事な家族。読者とペットの愛おしい日常のひとコマをお届けします。今回の主役は、猫のぽるとちゃんです。
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実は40年ほど前、野良猫を拾ったのに、あまりの凶暴さに、再び野に放ったことがあります。自分がどれほど残酷なことをしたか、今ならよくわかります。
保護猫センターであの時の猫と似た表情の猫を見かけ、自宅に迎えることにしました。猫を飼うという責任を今度こそ果たそうと固く決意して。
ところが猫はあの時の猫と同じように爪出しパンチを次々に繰り出し、般若のような顔でシャーシャーと威嚇します。まるで、昔の私が猫にした仕打ちを知っているかのようでした。
2年前、コロナ禍で世の中が一変し、家にこもって生活する日々となりました。シャー猫(本名ぽると、4歳、雄)は、一日中家にこもってパソコンに向かう私をじーっと観察し、私が振り向くと、「こっち見んな!」とばかりにバンと床をたたいてすごんでいました。
ある日、ご飯をあげようとしてまともにパンチを食らい、手から流血しました。急に悲しくなり、床に突っ伏してわんわん泣いてしまいました。我ながらびっくりしました。コロナ禍のストレスもあったのかもしれません。
泣きながらそっと顔をあげると、シャー猫が目の前にうずくまり、じっと私を見つめていました。目を見ても、威嚇することなく、私の前にうずくまったままでした。
それからもたまに威嚇はありましたが、挨拶代わりのようなゆとりのあるシャーに変わっていきました。3年たった今ではヘソ天でなで放題です。
シャー猫よ。私にやり直すチャンスをくれてありがとう。一緒にいてくれてありがとう。コロナ禍を支えてくれてありがとう。そして、これからもよろしく。
(東京都大田区/59歳/翻訳業)
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※週刊朝日 2022年12月23日号(2023猫カレンダー付き)