「『お父さんが浮気をして、私はそれが許せなかった。離婚を考えたけど、あんたたち2人が成人するまではとりあえず結婚生活は続けていくことにした。その代わり、私は自由恋愛をすることにしたんで』と母は言いました。
自由恋愛とは何かを聞くと、『私は私で勝手に誰かと恋愛したりするんで、お父さんも勝手にしてもらって、もちろんあんたたちも好きにするといい』との答え。母はさらにこう続けました。『ただし絶対に妊娠はするな、させるな』。
両親の仲がうまくいっていないことはなんとなくわかっていたとはいえ、改めて事実として伝えられるとショックでした。しかし私と弟を前にして話す母は何か吹っ切れたようにも感じられ、母の決断であるなら応援したいとも思いました」
母はこれからの家族の生活についてざっくばらんな説明をした。弟の部活がある日は変わらずお弁当を用意する、Cさんの帰りが遅くなる日は今までのように駅まで車で迎えに行く、家事もやるしお父さんにもちゃんとご飯を作る…つまり母はこれまで通り、引き続き“主婦”の役目を果たすという。変わるのは、母がその合間を縫って“自由恋愛”とやらをする、という一点だけであった。
その当時、Cさんの母に特定の恋人はいなかったそうである。だがCさんが入学して2ヵ月ほど経った頃にはもう、「いい人」ができていた。
「母とは私が中学生の頃から、恋愛などの色々なことについてわりとオープンに話してきていたこともあってか、新しくできた恋人ののろけ話も聞かされました。最初は母親と、“私の”ではなく“母親の”恋愛話をしていることに関して違和感しか覚えませんでしたが、『応援すると決めたのだ』と自分に言い聞かせるうちに、やがて慣れました。