イラスト:サヲリブラウン

 どうしたら苦手を克服できるか?と相談を受けることがよくあります。解決策はいくつか提示しますが、尋常ではない疲労を伴う苦手は、克服しようと思わないほうがよい、と私は答えます。

 悩みとして特に多いのが、人前でしゃべるのが苦手、初対面の人と打ち解けるのが苦手、というもの。苦手でも、やらねばならぬ場合がありますものね。私のたまのテレビ出演や、長丁場の撮影もそう。誰かに強制されているわけでも、嫌々やっているわけでもなく、納得して挑んでいるけれど、恐らくうまくできない自覚があるから、なんとか克服したくなる。

 ある程度の訓練で、遜色なくできるところまではいけると思います。私はそうでした。でも、その後の疲労が凄まじいなら、できるだけ避けてよいとも思うのです。うまくできるようになったからと言って、疲れないわけではない。できるようになることと、楽しくできるかは別の話。

 楽しいことばかりやって暮らしていくわけにはいかないし、できないことを減らしていくのは素晴らしいこと。と同時に、ダメージの度合いを見極めて避けるのも大切です。私もパーティーのお誘いには、これからも欠席のほうに〇をつけて返信します。

AERA 2025年5月5日-5月12日合併号

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