池袋暴走事故の遺族・松永拓也さんに女子中学生が送ったメール。松永さんの心の傷をえぐる言葉が書かれていた(写真:松永拓也さんのXから)

 今やネットやSNSは、生活に欠かせないツールとなっている。半面、使い方によっては相手を傷つける道具にもなる。今年3月には、兵庫県の中学3年生の男子生徒が、都内の中学校など約9千カ所に「殺す」などと脅すメールを送ったとして、書類送検された。

 ITジャーナリストで成蹊大学客員教授の高橋暁子さんは、子どもがネットやSNSで他者を攻撃するケースが増える背景には、スマホの所有年齢が下がり、それに伴いSNSの利用開始も低年齢化していることが関係しているという。NTTドコモのモバイル社会研究所の調査ではスマホのデビュー年齢は23年が10.6歳で、4年前より0.7歳低年齢化した。

 そうした中、今回の松永さんのケースのように「ネットやSNSでの行動の過激化はよくある」と高橋さんは話す。

「再生回数を稼ぐために迷惑行為を繰り返す迷惑系YouTuberがそうです。目立つためには他人と違うことをしなければいけなくて、行動を過激化していった結果、誹謗中傷に走ることは少なくありません」

 しかも、そもそも子どもはネットコミュニケーションが下手で、SNSでは相手にどう伝わるか理解できていないと言う。

「普段から子どもたちは悪口で『ふざけんな、死ね』などと平気で言いますが、本気で死んでほしいとは思っていません。しかしそれをSNSで送ると、受け取った相手がどう思うか理解できていないところがあります」

(編集部・野村昌二)

AERA 2024年12月23日号より抜粋

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