もっとリラックスして東京を楽しんで
王林 東京の鳥は地方に比べて飛ぶスピードも移動するスピードもちょっと速いんですよ。鳩も青森で見る鳩とは全然違う。東京ではいろいろなことが目まぐるしく起きてて、私たち人間はせかせかしてしまっているかもしれないけど、鳥まで急ぐ必要はないと思うんです。もっとリラックスして、東京という土地を楽しんでほしい。東京でも郊外にいる鳥はゆったり過ごしているけど、東京駅付近にいる鳥は特に生き急いでいるように見えます。
──自分の中で、地元と東京にいるときとでは、気を張って「モード」は切り替えているという。津軽弁も、東京にいるときは少し抑えている。
王林 東京で青森の友達や家族と電話で話していると、マネジャーさんから「何言ってるかわからなかった」って言われます。だから、東京にいるときは常に同時通訳みたいな感じで「この言葉を使うと伝わらないな」って意識しながら話しています。
──アイドルとして長年活動してきたこともあり、歌への思いも深い。自身初となるミュージカル出演作はWEST.の濵田崇裕&神山智洋がW主演を務め、大ヒット傑作コメディーミュージカルが新演出で蘇る「プロデューサーズ」だ。希望に満ちた女優志望のウーラを演じる。
ウーラと津軽弁を話す自分は重なる
王林 アイドルとして歌って踊ってきましたが、演技の経験はほとんどありませんし、「プロデューサーズ」という作品のファンの方がとても多いので、「私に務まるかな」という気持ちが強くて、最初は「どうやって断ろうかな」と思いました。
でも、私が演じるウーラはスウェーデンで生まれ、女優になるという夢を持ってブロードウェイにやってきます。ウーラにはスウェーデン語が交ざるところにお茶目なかわいらしさがある。東京で頑張っている自分、津軽弁を話す自分とも重なるので、初めて挑戦させていただくミュージカルとして運命を感じて、一生懸命頑張ろうと思いました。
──歌とダンスに加え、演技もしなければいけない。初挑戦となるミュージカルの稽古場では、「主演の濵田さんと神山さんの存在に助けられている」という。